【川越宗一さんの新刊「パシヨン」】救われるのは読者か

静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は2021年7月から1年間、静岡新聞朝刊に連載した川越宗一さんの歴史小説「パシヨン」(PHP研究所)。

戦国・江戸時代のキリシタン大名の末裔で、渡欧して司祭となる「小西マンショ彦七」を主人公に、当時の国内のキリスト教徒の苦難と救済を描く。パシヨンは「受難」の意。十字架で生きたまま焼かれ、熱湯で責められ、暗い穴に逆さにつるされ。目をそむけたくなる場面が何度も出てくる。そのたびに読者は、知らず知らず自らに問う。問わずにはいられない。「自分は何をよすがに生きるのか」。彦七の明るさ、無軌道さに救われる。

静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。

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