
2021年の第165回直木賞作。江戸時代の画家河鍋暁斎の長女とよ(暁翠)は、父への反発を覚えながらも、いつしか河鍋の名を継ぐ唯一の画人として自覚を強めていく。暁斎と、彼が少年時代に師事した狩野家の記述が興味深い。器用になんでも描いたとされる暁斎の特質を、澤田さんは「生写(写生)を尊ぶ狩野派の技術に桁外れの想像力を混ぜ合わせ」と書く。狩野家の零落が「当世風」に背を向ける暁翠の反骨心につながるくだりに胸が熱くなる。(は)

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