【小川糸さんの「椿ノ恋文」】 「おいしいもの」の力

静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は、2022年7月から2023年1月まで静岡新聞朝刊に連載した、小川糸さんの「椿ノ恋文」(幻冬舎)。

鎌倉の「文具店」で代書屋を営む鳩子が主人公のシリーズ第3作。特に第2編「金木犀」は涙なしでは読めない。このシリーズは食べ物の描写も美点。日本酒のお猪口で飲む京都の昆布茶、スパイスや柑橘類を加えて小鍋で仕立てるホットワイン、伊豆大島の場面で出てくる「明日葉と島海苔のソテー」…。「おいしいもの」が人と人の関係を円滑にし、深め、かけがえのないものにする。小川さんにとってこれは「信仰」に近いものなのだろう。(は)

静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。

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