【しゅんしゅんさんの「椿ノ恋文画集」】物語が鮮明によみがえる

静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は、静岡新聞朝刊に2022年6月から2023年1月まで連載した小川糸さんの小説「椿ノ恋文」の全挿画をまとめた素描家しゅんしゅんさんの「椿ノ恋文画集」(2023年、幻冬舎)。「椿ノ恋文」の単行本も同時発売(同)。

鎌倉の「ツバキ文具店」と、持ち込まれる手紙の代書依頼を巡るあれこれ。日常のちょっとしたさざ波を優しく描写するこの連載には、朝からずいぶん泣かされた。画集は200点の挿画が掲載順に並ぶ。物語が鮮明によみがえる。しゅんしゅんさんは(たぶん)定規を使わない。直線は波打ち、森林風景は点描のようだ。ただ、人の手を使って描かれたことがはっきり分かる。それは、送り手に替わって手紙を書く「代書屋」の手の温もりに通じる。(は)

静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。

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