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静岡新聞教育文化部

【三宅玲子さんの「本屋のない人生なんて」】古くて新しい「ロマン」充満

静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は、3月下旬発刊のノンフィクションライター三宅玲子さんの単行本「本屋のない人生なんて」(光文社)。北海道から熊本まで、全国の独立系書店7店舗を訪ね歩いたルポルタージュ。第6章で掛川市の「高久書店」が取り上げられている。

読んで落涙した。たった9坪の高久書店のたたずまい、集まる人、支える人の顔つきがはっきり浮かぶ。それは三宅さんの筆力に加えて、店主高木久直さんの、書店と書籍とお客さんに向けた尽きせぬ愛と情熱によるものだ。経営者としての冷徹な計算はありつつ、高木さんのたどった道、発言には古くて新しい「ロマン」が充満している。その源にある「反骨心」にも心打たれる。章タイトルは「本屋を植える」。なんて素敵な言葉だろう。(は)

静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。

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