【万城目学さんの「八月の御所グラウンド」】草薙球場での名勝負を描写

静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は、1月17日に選考発表がある第170回直木賞にノミネートされた万城目学さんの単行本「八月の御所グラウンド」(文芸春秋)。

表題作はお盆期間の京都市が舞台。御所内の運動用広場、通称「御所G」で繰り広げられる早朝草野球が物語の駆動装置となる。日本最初のプロ野球チーム「大日本東京野球俱楽部」のエース、1944年に東シナ海で戦死した沢村栄治への言及が、作品の肝。1934年11月20日に静岡市駿河区の草薙球場で繰り広げられた、米国代表との死闘の描写もある。ベーブ・ルースらを相手にわずか1失点。剛腕の伝説と実績と幻想が、作品世界に途方もない奥行きを与える。(は)

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