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静岡新聞教育文化部

【町田康さんの新著「口訳 古事記」(講談社)】騒々しい神々と物語の推進力

静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は熱海市在住の芥川賞作家町田康さんの最新刊「口訳 古事記」。

480ページの大河ドラマ。だが、するすると読める。というか、読まされる。誰もが何となく知っている古事記の世界を、著者お得意の河内弁で展開するとあら不思議。別の物語のよう。高天原の神々の誕生から、仁徳天皇の治世まで。神々はとにかく騒々しい。「ぎゃあああっ」「いやよー」「いたいー」。神秘性の減衰と反比例して物語に推進力が生まれるのがまた不思議。後半、和歌のやり取りが頻出するが、その「大意」は抱腹絶倒。

静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。

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