【Kanzan Galleryの「在るもの」展】「苦味」のような縦の線

静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は、東京都千代田区東神田のKanzan Galleryで2023年12月23日~2024年1月28日に行われた、藤枝市を拠点に活動した写真家・美術家の長船恒利さん(1943~2009年)の個展「在るもの」。1970年代、1980年代に撮影した同シリーズからの全23点。

静岡県内外の後進に大きな影響を与えた長船さん。モノクロで景色を捉えた作品は、画面を縦に分断する線が目につく。藤枝で撮影した1点は瓦屋根の家屋を右奥に、画面中央に「青木」と住所表示がある電柱を置く。別の1点は下見板張りの建築の前に、木の電柱や南洋系の樹木の影を置く。かつて存在した遊園地を写した1枚は、わざわざど真ん中に支柱を付けた若木を配している。さらりとは鑑賞させないための「苦味」のような縦の線。(は)

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