関係者によると、県教委は総事業費298億円のうち、国土交通省の社会資本整備総合交付金136億円を充てる見込みだった。しかし、申請自治体の急増などのため、34億円程度の交付にとどまることが国との協議を通じて判明した。138億円だった県の実質負担額がさらに100億円ほど増えることになる。県教委は、最大60億円余りとされる内閣府の第二世代交付金の獲得を目指すが、8月の内示まで見通しが立たない状況が続く。
新図書館については、特徴的なデザインや機能が事業費の高騰を招き、業者が入札を敬遠する要因になっているとの見方があり、現計画のまま再入札を行っても落札に至らない可能性が懸念される。一方、設計や計画の見直しに踏み込んだ場合、現時点で2028年8月以降としている完成時期はさらに遅れ、建設費高騰のリスクも増すことが避けられない。
新図書館は、老朽化、狭あい化する現在の県立中央図書館(静岡市駿河区谷田)を全館移転して整備する。現計画では鉄骨造9階建て。延べ床面積1万9800平方メートル、収蔵可能数は約200万冊といずれも現図書館の2倍強。閲覧できる蔵書は約80万冊の予定で、公共図書館としては国内最大級となる。
県教委は当初、開館時期を26年度内、概算事業費を180億円と想定したが、県産木材利用量を増やす方針変更に伴い、192億円に修正した。昨年の入札では資材高騰などを踏まえてさらに298億円に増額したが、入札不調に終わった。
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