計画中の新静岡県立中央図書館、国の交付金100億円減額 県の負担増必至―継続か見直しか、迫られる判断

 静岡県教育委員会がJR東静岡駅南口の県有地に整備する新県立中央図書館について、事業費への充当を見込んでいた国の交付金が約100億円減額される見通しになったことが19日までの関係者への取材で分かった。県教委は別の交付金による財源確保を目指すが、負担額増加は必至。昨年11月の入札不調を受けた再入札が今夏に予定される中、現行計画を継続するか、内容を見直して事業費抑制を図るか、鈴木康友知事や県議会の判断が注目される。
 関係者によると、県教委は総事業費298億円のうち、国土交通省の社会資本整備総合交付金136億円を充てる見込みだった。しかし、申請自治体の急増などのため、34億円程度の交付にとどまることが国との協議を通じて判明した。138億円だった県の実質負担額がさらに100億円ほど増えることになる。県教委は、最大60億円余りとされる内閣府の第二世代交付金の獲得を目指すが、8月の内示まで見通しが立たない状況が続く。
 新図書館については、特徴的なデザインや機能が事業費の高騰を招き、業者が入札を敬遠する要因になっているとの見方があり、現計画のまま再入札を行っても落札に至らない可能性が懸念される。一方、設計や計画の見直しに踏み込んだ場合、現時点で2028年8月以降としている完成時期はさらに遅れ、建設費高騰のリスクも増すことが避けられない。
 新図書館は、老朽化、狭あい化する現在の県立中央図書館(静岡市駿河区谷田)を全館移転して整備する。現計画では鉄骨造9階建て。延べ床面積1万9800平方メートル、収蔵可能数は約200万冊といずれも現図書館の2倍強。閲覧できる蔵書は約80万冊の予定で、公共図書館としては国内最大級となる。
 県教委は当初、開館時期を26年度内、概算事業費を180億円と想定したが、県産木材利用量を増やす方針変更に伴い、192億円に修正した。昨年の入札では資材高騰などを踏まえてさらに298億円に増額したが、入札不調に終わった。

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