
5月14日の初日から盛り上がりを見せる「静岡ホビーショー」に、15年ぶりの参加を決めた老舗があります。新たな部署も立ち上げ、社員一丸となって臨んだ初日に密着しました。
会議室の一室で始まったデモンストレーション。3週間前、静岡ホビーショーに向けてどんなブースにするのか、実際に展示品を並べて検討しました。
静岡市駿河区の「フジミ模型」。1948年創業、車や戦艦のプラモデルなどを販売する老舗模型メーカーです。今回、15年ぶりに静岡ホビーショーに参加することになりました。
<フジミ模型 鈴木祥充さん>
「どんな反応もらえるかとても楽しみ。期待と不安半分ずつですけど」
<フジミ模型 中澤祐里絵さん>
「ずっと問屋さんなどからホビーショー出ないの?って聞かれていたので、やっと出ますと言えるようになって良かった」
Q. あの背面の絵はどうなっている?
「あれは一応色決まったので」
参加のきっかけは「事業承継」です。フジミ模型と取引があった模型メーカーを経営する中村さんは、2023年夏に先代の社長から相談を受け、2024年2月、フジミ模型の社長を引き継ぎました。
これまでは既存の商品の再生産や受注販売が中心で、販路拡大のためのPR活動や営業をしない方針でした。しかし、中村さんが就任してから1年が経ち、社内の体制も整ったことからホビーショーへの参加を決断しました。
<フジミ模型 中村誠一社長>
「お客さんと接することが今までなかったスタッフばかりなので、自分たちがどういうフジミを皆さんに見てもらいたいかというところがあり、アピールする場だと思って決断した」
とはいえ、15年ぶりの参加には大きなハードルがありました。
Q.新しい部署も作られたと?
<中村社長>
「営業ですね。今までフジミ模型営業がいなかったんですよ、お恥ずかしい限りなんですけども…」
以前の方針もあって、まさかの「営業」がいませんでした。商談の場でもあるホビーショーで担当営業がいないとあっては示しがつきません。
「SBS静岡放送青木と申します」
「フジミ模型の松井と申します」
営業の即戦力として、2025年1月に入社したのが松井悠太さん。業界歴は17年です。
<フジミ模型 松井悠太さん>
「フジミ模型の商品をもっと全国に広めていきたいなと。プレッシャーはもちろん感じるが、やりがいも感じながらというところで、しっかりやっていきたいと思っている」
松井さんの入社によって営業課が立ち上がり、ホビーショーへの参加の機運が高まりました。社員一丸となって臨みます。
ツインメッセ静岡。ホビーショー開幕の1時間前、この舞台に帰ってきたフジミ模型の営業活動はすでに始まっていました。
<中村社長>
「おはようございます。色々ご迷惑をおかけすると思いますけど」
<青嶋文化教材社の社長>
「いえいえ、とんでもない」
Q.開演前から忙しいですね?
<中村社長>
「15年ぶりなのでちゃんと挨拶をして回ろうかなというのは最初から決めていたので」
創業77年を迎えた老舗も、静岡ホビーショーの現場では新米です。
ホビーショーの業者招待日には、メーカーから製品を買い付ける卸売業者も集まります。久々の出展ということもあり、業者からも熱い視線が注がれます。
<宮沢模型 北村取締役>
「フジミ模型は昔から車関係がすごく強いメーカーで、より新しい商品もどんどん出していただけるメーカーだったので待ちに待っていた」
午前9時半、静岡ホビーショーがスタート。毎年恒例のお出迎えの花道に、2025年はフジミ模型も加わりました。入念に準備したブースでは、日本で初めてフジミ模型が販売した「初音ミク」のプラモデルや、キャッチーなゴジラのプラモデル、車の製品が人気なフジミ模型だからこその新商品、コンテナのプラモデルなど、約70の製品を取り揃えました。
<松井さん>
「車を入れられるんですよ」
営業の松井さんはもちろん、中村社長もブースに立ち、ライターや業界関係者の対応に追われます。この対応の1つ1つで、フジミ模型が変わったことが伝わるはず。
<松井さん>
Q.名刺増えました?
「増えましたね。30分まだ経ってないですけどだいぶ減っちゃいました。また補充しないと。できるだけの人と話して色々な情報をもらいながら、新しい企画とかにつなげていけたらなと思う」
模型の世界首都・静岡から生まれ変わった老舗が、新たな船出を迎えます。
<中村社長>
「今後はユーザーさまに喜ばれるような商品を出しつつ、品質・営業活動。全てを今後『フジミ変わったな』と言われるようなフジミ模型で、今後はやっていきたい」