テーマ : 新商品・新技術

CNF濃縮品を生産・販売へ 独自の乾燥技術で低価格化 西光エンジニアリング(藤枝)

 乾燥機メーカーの西光エンジニアリング(藤枝市)は、セルロースナノファイバー(CNF)の低価格化や用途拡大に向け、2月からCNF濃縮品の生産・販売を始める。独自技術を生かし、市販のCNF溶液に比べて10倍の濃度まで水分量を低減できる。あらかじめ脱水処理を施すことで、使い勝手の向上や流通コスト削減に貢献する。

2月から生産・販売するCNF濃縮品(右)。マイクロ波を使い、通常の溶液(左)に比べて水分量を大幅削減した=藤枝市の西光エンジニアリング
2月から生産・販売するCNF濃縮品(右)。マイクロ波を使い、通常の溶液(左)に比べて水分量を大幅削減した=藤枝市の西光エンジニアリング


 隣接する食品加工子会社の沖友の敷地内に新工場を構え、マイクロ波減圧乾燥機を設置した。一般的なCNF溶液のセルロース含有量は2%程度で大半が水分だが、マイクロ波を活用してCNFの特性を損なわずに水分を蒸発させ、含有量20%まで濃縮する。自動車部品メーカーや製紙関連企業を中心に販路を築き、2026年に年間売上高2600万円を目指す。
 植物繊維を超微細レベルにほぐしたCNFは加熱すると変質しやすいため、通常は水に混ぜた溶液の状態で取引される。このため輸送費がかさむ上、CNFを取り出すのに高額な特殊薬剤で脱水処理が必要となるなど課題が多い。西光エンジニアリングは、茶やドライフルーツなどの製造で培った乾燥技術を応用。マイクロ波で水分子に振動を起こして蒸発させる電子レンジと同様の原理で濃縮化に成功したという。
 同社は24年の生産開始を目標に、乾燥粉体製造の研究も進めている。岡村邦康社長(78)は「取引先がCNFを安価に使いやすい状態で入手できれば、用途開発も進むはず」と期待する。
 (経済部・薮崎拓也)

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