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静岡新聞教育文化部

【小林且弥監督「水平線」】大小の物語をより合わせた傑作

静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は、静岡市葵区の静岡シネ・ギャラリーほかで3月22日から公開中の、小林且弥監督「水平線」。主演はピエール瀧さん(静岡市出身)。足立智充さん(磐田市出身)が共演。

福島県の港町が舞台。散骨業を営む男を瀧さんが演じる。さまざまな暗喩をにじませながら大小の物語を巧みにより合わせた傑作。原発の「処理水」海洋放出を巡る諸問題を論じているようにも思えた。瀧さんの「への字型」の両目と口、眉間とおでこのしわが、主人公のかすかな心の揺れを繊細に表していて感動。足立さん演じるジャーナリストが主人公に対し、カギ括弧付きの「正義」を投げつける場面に、メディアの加虐性を感じ取った。(は)

静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。

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