駿府城天守台の石垣のお噺し
語り:春風亭昇太
平成28年(2016年)に始まった発掘調査で、駿府城のふたつの天守台が確認されたことは、これまでの歴史の認識を変える出来事でした。この場所に、戦国時代の天正期と、江戸時代の慶長期、異なるふたつの時代の天守台と天守があったことを発掘された石垣から知ることができます。
天正期のものと見られる石垣は、野面積。加工していない自然の石をそのまま積む、初期の石垣の工法でつくられています。
慶長期に入ると、仕上がりを綺麗に見せる打込接と呼ばれる工法へと石垣の積み方が進化しました。石を割って加工して石同士の隙間を減らし、小さな隙間にも間詰め石を入れる。手間はかかりますが、野面積よりも高く急な石垣をつくることができます。家康による駿府城の大改修では、この工法で石垣を積み、天正期よりも高く強固な天守台が築かれたと見られています。
江戸の中期になると、四角に形を整えた石を隙間なく、ぴったりと積み上げる切込接という積み方へと、さらに技法が進化しました。駿府城の大手門跡には、珍しい亀甲型に整えた石を積み上げた、見事な切込接の石垣を今も見ることができます。
崩れない石垣をつくるために重要とされるのが石垣の角。角を頑丈にするために、長方形の石の長い辺と短い辺を交互に組み合わせていく、算木積みという技法が生まれました。算木積みの技術も、時を経て進化していったため、その完成度によっても、石垣がつくられた時代を知ることができると言われています。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。
静岡市の観光親善大使でもある春風亭昇太師匠の語りで、歴史や文化、特産品など、静岡市の魅力を紹介するミニ番組です。(毎週日曜日ひる12時54分放送)