
有東木のわさびのお噺し

そのころ、大御所となって駿府城に戻っていた徳川家康に有東木のわさびを献上したところ、その香りと独特な辛味を絶賛し、「天下の逸品」として門外不出を命じたと言い伝えられます。わさびの葉の形が徳川家の家紋である葵の紋に似ていることも大切にされた理由だと言われています。
その後江戸時代に人気になっていく蕎麦や鮨と結びつく事で、わさびは日本の食文化に定着していきました。
江戸中期、有東木に椎茸栽培の技術を教えに来た伊豆天城の板垣勘四郎は村人に頼み込み、椎茸のお礼として、わさびの栽培方法を伝授してもらいました。彼がわさびの苗を持ち帰ったことでわさび栽培は伊豆に広がったのです。
その後、畳石式と呼ばれる棚田状のわさび畑で、肥料や農薬を使わずに、湧水の養分だけで栽培する方法が伊豆で開発され、それは有東木にも伝えられました。わさび栽培発祥の地に、伊豆から栽培技術が里帰りしたのです。その栽培方法は高く評価され、平成30年に世界農業遺産に認定されています。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。
静岡市の観光親善大使でもある春風亭昇太師匠の語りで、歴史や文化、特産品など、静岡市の魅力を紹介するミニ番組です。(毎週日曜日ひる12時54分放送)