安倍川橋のお噺し
語り:春風亭昇太
旧東海道が安倍川と交わる場所に架かる安倍川橋。大きな川に橋を架けることが、禁じられていた江戸時代、東海道府中宿と丸子宿の間を行き来する旅人は、このあたりで川越人足に川を渡してもらっていました。
明治7年、地元の実業家、宮崎総五さんが、私財を投じて、この場所に木製の「安水橋(あんすいばし)」を架けました。橋の建設工事には川越人足として働いていた人たちも雇い入れ、土木技術の職業指導も行ったとされています。そのあと、明治36年に木と鉄で作られた 2代目安水橋を経て、大正12年に完成したのが、現在の安倍川橋です。橋の長さ、桁の数ともに日本有数のボーストリングトラス橋である安倍川橋は、令和5年7月23日、建設から100年を迎えます。
橋のあちこちに見られるイギリスの鋼材メーカーの刻印。輸入した材料で作られたことがはっきりと分かる珍しい橋で、国の登録有形文化財となることが決まりました。
安倍川橋は、三角形を組み合わせたトラス構造の橋ですが、丸子側にはひとつだけアーチ構造になっている部分があります。トラスとアーチ、2種類の作りが一度に見られる、全国的にも珍しい橋になっています。
今年(令和5年)は7月22日に開催される安倍川花火大会。昭和28年、東海道花火大会として始まった静岡の夏の風物詩が100周年の安倍川橋を彩ります。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。
静岡市の観光親善大使でもある春風亭昇太師匠の語りで、歴史や文化、特産品など、静岡市の魅力を紹介するミニ番組です。(毎週日曜日ひる12時54分放送)