語り:春風亭昇太

梅ヶ島温泉の南に位置する梅ヶ島新田。
ここに住む人たちの先祖は、江戸幕府の小判に使われる金も採掘されていたという日影沢金山から移り住んだと伝えられています。
この地には、静岡市の無形民俗文化財に指定されている神楽「梅ヶ島の舞」が伝承されています。
この神楽は、初午、2月最初のうまの日に新田稲荷神社の初午祭で奉納されます。
「正月に帰ってこなくても、初午にはかえって来い」と言い合うほど、梅ヶ島新田の人々は、このお祭りを大切にしてきました。
現在「梅ヶ島の舞」として17の演目が伝承されています。
初午祭のもうひとつのお楽しみ、祭りの夜に公会堂で行われる余興の舞台芸として始まり、それがいつの頃からか、食間に梅ヶ島新田の家々を回るようになったといいます。
演じるのは地元の青年会のメンバー。
「チッキドンドン チキドンドン チキドン チキドン チキドンドン」
独特な拍子で村中を練り歩くチキドンを子どもたちも楽しみにしています。
山に囲まれたこの地区では、米を作ることが難しく、代わりに蕎麦の栽培が盛んになりました。
古くからの伝統を継承して、今も初午のこの日には、そばを食べる風習が続いています。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。