語り:春風亭昇太

世界文化遺産富士山の構成資産に認定された景勝地三保の松原。
松原の中には羽衣の松と呼ばれる松の木があり、羽衣伝説の舞台としても知られています。
地上に舞い降りた天女が、浜辺の松にかけた羽衣を地元の漁師が見つけ、持ち帰って家宝にしようとしました。
困った天女が羽衣を返してもらうために美しい舞を舞ったという物語、羽衣伝説。
返してもらった羽衣をまとった天女は、やがて彼方の富士山へ舞い上がり、霞にまぎれて消えていきます。
この幽玄な世界を描いた能「羽衣」。
昭和59年から、この「羽衣」を演目とする能楽イベント「羽衣まつり」が、毎年10月に行われています。
まつりの日には能「羽衣」を愛し、その舞台、三保を訪れる夢が叶わぬまま、若くして亡くなったフランス人舞踏家エレーヌ・ジュグラリス氏を偲ぶ式典も行われます。
静岡市歴史めぐりまち噺し、今日のお噺しはこれにて。