三保松原と家康の外交のお噺し
三保半島の南側、沿岸におよそ5キロにわたって続く松林が「三保の松原」。2013年に世界文化遺産に登録された「富士山」の構成資産に認定されています。
三保の松原の象徴は松原のまん中あたりにある「羽衣の松」。ここは、天女と地元の漁師のはかない恋を描いた「羽衣伝説」の舞台として知られています。
将軍の座を息子・秀忠に譲り、駿府に戻った晩年の家康ともゆかりの深い三保松原。大御所として駿府の地に暮らした家康は、三保松原を眺めながら、海の向こうに思いをはせたのかもしれません。
豊臣秀吉の朝鮮出兵によって悪化した関係を修復するため、朝鮮からの使節を日本に迎えていた家康。「朝鮮通信使」と呼ばれたその使節団を三保松原に連れて行き、駿河湾に浮かぶ南蛮船を見せた様子が、屛風絵に残されています。
当時ポルトガルが世界に誇っていたガレオン船を呼び寄せて、使節団に見せつけたのは、自らの力を誇示する家康の巧みな戦略だったのでしょうか。その戦略も三保松原という絶景があればこそ、より鮮烈な印象を残した事でしょう。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。
静岡市の観光親善大使でもある春風亭昇太師匠の語りで、歴史や文化、特産品など、静岡市の魅力を紹介するミニ番組です。(毎週日曜日ひる12時54分放送)