
初夢に見ると縁起がいいと言われている「一富士、二鷹、三茄子」。この言葉は江戸時代中頃から広く言われるようになりました。
その由来は、徳川家康が隠居していた駿河の国の名物を順に上げたという説や、縁起の良いものを並べたなどの説がありますが、その一つが徳川家康の好きなものを並べたというもの。
風景では富士山、趣味では鷹狩り、食べ物では茄子がことのほか好きだったといわれています。この3つを初夢で見ると、天下を取った家康にあやかれると江戸時代の人が考えたというわけです。
家康が好んで食べた茄子が「折戸なす」。まん丸な形と、濃い紫色が特徴です。三保折戸で栽培されていた在来品種で、鋭いとげがあることからも原種に近いことがわかります。実はギッシリと詰まっていて、熱するととろとろとした食感。
江戸時代に盛んに栽培され、旧歴5月に将軍家と久能山東照宮に献上されていた記録が残っていますが、明治以降は栽培が途絶えていました。研究機関に残っていた種を利用して地元の生産者が2年の歳月をかけて復活を果たし、2007年に出荷が始まったのです。
復活した家康の好物。毎年、初物は久能山東照宮に奉納されています。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。