臨済寺と今川家のお噺し
語り:春風亭昇太
永禄3年(1560年)に、桶狭間の地で、織田信長に討たれた今川義元。静岡市葵区の臨済寺には、義元を祀る今川神廟があります。義元の功績はもっと評価されるべきとの住職の思いから、2018年に建て直されたのが、現在の神廟です。扁額の文字は、明治時代、今川家最後の当主、範叙によって書かれました。
義元の死後、跡を継いだ義元の息子、氏真の代に、戦国大名としての今川氏は滅び、氏真は、妻の親元である小田原の北条氏に身を寄せました。その後、今川家は、江戸幕府のもとで儀式・典礼を担う高家という立場を与えられ、明治時代まで存続していました。
家康の教育係でもあったという、2代目住職 太原雪斎によって、臨済寺は勅願寺の寺格を授かりました。勅願寺、つまり天皇の発願によって創建された、もしくはそれと同等と認められた寺であることを示した扁額が本堂に掛けられています。臨済寺の本堂は、江戸時代初期に徳川家康によって再建されました。
今川家の菩提寺を再建することで、家康は、竹千代と呼ばれた少年時代に、自分を武士として成長させてくれた今川家への恩を果たそうとしたのかもしれません。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。
静岡市の観光親善大使でもある春風亭昇太師匠の語りで、歴史や文化、特産品など、静岡市の魅力を紹介するミニ番組です。(毎週日曜日ひる12時54分放送)