
今川氏の菩提寺であり、のちの天下人徳川家康の人間形成に大きな役割を果たした臨済寺。本堂にかかる額は、国の安泰を祈願する寺として天皇が認めた事を表しています。
年2回修行の場である座禅堂が公開されるときだけに見学が許される「摩利支天」。イノシシにまたがり、猪突猛進する姿は戦いの神として崇拝されてきました。かつては静岡浅間神社内の八千戈神社に祀られていたこの「摩利支天」に、関ケ原の合戦に臨む家康も勝利を祈ったといわれています。
神と仏の信仰を分離すべしという明治政府の命により、仏教の守護神である摩利支天は、臨済寺に移されました。山門に安置されている仁王像も、時を同じくして静岡浅間神社から臨済寺に移されています。
そして臨済寺のさらなる見どころが、徳川家康がこのお寺を再建した際に、賎機山の斜面を巧みに利用して作られたという美しい庭。国の名勝に指定されています。上からお庭を望めば、臨済寺本堂は今川氏の館があった場所、現在の駿府城公園を向いているのです。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。