語り:春風亭昇太

初夢に見ると縁起が良いといわれている一富士 二鷹 三茄子。由来は諸説ありますが、徳川家康公が好きだったものを3つ並べた、という説もそのひとつ。
一富士はもちろん富士山。家康公は「駿河には名山、富士山があり、見飽きる事がない」と言ったと伝わります。
二鷹は家康公の趣味が鷹狩りであったことからきています。静岡市の中心部に「鷹匠」(たかじょう)の地名が残るのは、武家屋敷があったこの街に、家康公に仕えた鷹匠たちが住んでいたことに由来しています。「鷹匠」とは、鷹狩りのために鷹を飼いならすことを仕事とする人たちの事で、鷹匠のまちができるほど、鷹狩りが盛んであったことを物語っています。
鷹匠にある徳川ゆかりの「一加番稲荷神社」。「加番」とは、駿府城の警護として置かれた職で、一番から三番まで、三つの加番がありました。「加番」の屋敷には、武士の集団が住み込んで、警護にあたっており、屋敷の敷地内に、守護神として祀られたのがこの神社の始まりです。
一加番屋敷は、当初、紺屋町にあったとされ、のちに、鷹匠に移転して、稲荷神社もともに移されました。明治維新後も神社は残り、地元の守り神として信仰され続けています。
三茄子の茄子とされる、清水の三保・折戸地区で作られていた「折戸なす」。濃い紫色と丸い形が特徴で濃厚な味わいを、家康公は好んで食べていたのだとか。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。