語り:春風亭昇太

久能山東照宮に収蔵されている家康の遺品には、家康の人となりが偲ばれる品々があります。織田信長や豊臣秀吉が好んだ華美な装飾があるものは少なく、地味ながら気品のある品々が家康の性格を物語り、その多くが重要文化財に指定されています。
40振を超える刀剣が残されている中でも、「長吉」と言う銘が付けられたこの鑓(やり)は、当時、一国の価値があるとまで言われたと伝わる名品です。
また、こちらの朝鮮版「和剤局方」(わざいきょくほう)と呼ばれる薬の処方が書かれた書物は、家康の趣味を物語ります。朝鮮の役で宇喜多秀家(うきたひでいえ)が入手したものを、のちに、家康が手に入れたと伝えられ、人一倍、健康に気を遣っていた家康らしい遺品といえるでしょう。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。