
広重の東海道五十三次にも描かれた丸子宿は江戸から数えて20番目の宿場町。
丸子宿の面影を今に伝えているのが、慶長元年(1595年)に創業したと言われるとろろ汁の店、丁子屋です。
十返舎一九の「東海道中膝栗毛」でも、登場人物の弥次郎兵衛と喜多八がとろろ汁の店に立ち寄っていました。とろろ汁は丸子の名物として、現在も多くの人に楽しまれています。
丸子宿から岡部宿に向かう途中、宇津ノ谷峠の手前には石畳みが続く、歴史情緒あふれる街並みが残ります。かつて旅人が、休息のために立ち寄ったであろう宇津ノ谷集落は、国の史跡にも指定されています。
宇津ノ谷集落の名物が十団子(とうだんご)。平安時代、地蔵菩薩が「旅人を食べてしまう鬼」を退治し、鬼を十粒の玉に砕いて飲み込んだ、という伝説が由来とされ、十団子は街道を行きかう旅人のお守りになりました。今も宇津ノ谷の家々に、災難よけや安全祈願のお守りとして吊るされています。
宇津ノ谷地区にある慶龍寺には、宇津ノ谷峠に祀られていた延命地蔵が移されており、毎年8月に行われる縁日で、十団子が売られています。
静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。