
駿河竹千筋細工のお噺し
語り:春風亭昇太

良質の竹が産出されてきた静岡県中部では、古くからそれを加工して日用品などが作られてきました。
江戸時代に入ると、東海道を行き来する参勤交代の諸大名や旅人の間で駿府の竹細工が人気となり、「駿河細工」と呼ばれて、全国に知られる特産品になりました。
天保11 年(1840 年)、岡崎藩士であった菅沼一我が駿府で宿をとった「はふ屋」の息子に細く割った竹を丸く削いで作る「丸ひご」の技法を伝授し、それが広まって現在のような精巧な技術による竹細工が駿府で作られるようになったといわれています。
一我が伝えたとされる技法で作られる竹細工は、「千筋網」と呼ばれて、国内外で高く評価されるようになりました。
他の産地で作られる竹細工の多くが、平たく太い平ひごを使うのに対し、千筋網は丸く細い丸ひごを幾筋も組んで編み上げることで生まれる優美な姿が特徴です。
明治6年にウィーンで開催された国際博覧会で、日本の特産品として出品された千筋網が高く評価され、これを機に多くの製品が海外へ輸出されたと言います。
江戸から明治、大正と時代を超えて伝統技術が継承され、千筋網は、昭和51年に通産大臣から「駿河竹千筋細工」の名称で伝統的工芸品の指定を受けました。
匠の技を継承する職人たちの手で作られる駿河竹千筋細工は、現代の生活や住空間に合わせて、進化を続けています。
静岡市歴史めぐりまち噺し今日のお噺しはこれにて。
静岡市の観光親善大使でもある春風亭昇太師匠の語りで、歴史や文化、特産品など、静岡市の魅力を紹介するミニ番組です。(毎週日曜日ひる12時54分放送)