【陸上は科学だ!】速く走るコツは?昔の指導法は通用しない?日々進化する“陸上王国”の今
県高校総体陸上で好記録が続出!夏のインターハイに注目!
(寺田)県高校総体の陸上競技で好記録が続出しました。富士市立高の小針陽葉選手は女子100mで予選から大会新記録を3連発。決勝は11秒72で優勝しました。男子中長距離では浜松開誠館高の辻本桜寿選手が1500メートルと3000メートル障害で、いずれも大会新記録を出しました。今年の県勢はレベルが高く、インターハイでの活躍が期待されます。(山田)小針選手がどれだけすごいか、もう少し教えてください
(寺田)まだ高校2年生なんですが、昨年度すでに100メートルは11秒65、走り幅跳びは6メートル19。現役高校生でトップなんですよ。5月の静岡国際陸上では200メートルでも23秒52。日本高校記録に100分の7秒まで迫るタイムでした。
(山田)リレー含めて今夏の全国4冠を目指しているとのこと。パリ五輪も見据えているそうですね。
(寺田)今年は静岡県の高校陸上界が“豊作”です。小針選手や辻本選手のほかにも、ハードルなどで全国のメダルや優勝を狙える選手がゴロゴロいます。
(山田)静岡は陸上が強いんですか。
(寺田)サッカー王国だけでなく、陸上王国でもあるんです。例えば1992年バルセロナ五輪では高野進さん(富士宮市出身)が日本人60年ぶりに400メートル決勝に残り、8位入賞しました。
同じく1992年バルセロナ五輪では、杉本龍勇さん(沼津市出身)が男子400メートルリレーのアンカーを務め、戦後初の決勝進出。6位になりました。
近年では2012年ロンドンオリンピック出場の高瀬慧さん(静岡市)のほか、2016年リオ五輪男子400メートルリレーで銀メダルを獲得した現役の飯塚翔太選手がいます。短距離に限ってもこれだけいます。
(山田)陸上レジェンドたちが出ている県なわけですね。
短距離走、理想的な足の動かし方は?
(寺田)今日は「陸上は科学だ」ということをお伝えしたいと思います。ちょっと短距離走の理想の足の動かし方について考えてみましょう。
足の動かし方はどちらが正しいか、クイズです。
①速く後ろにける
②まっすぐ下に踏み込む。
(山田)普通に考えて①?
(寺田)正解は②。昔は①だったんですよ。私が子供の頃は前傾姿勢を保って、足の指で地面をつかむように後ろにけれ、と教えられました。今は違うんですよね。
突然ですが、ここにあるボールペンを縦にまっすぐ落としてみます。ポンと上にはねます。地面からの反力を得られるんですよ。では、ボールペンを斜めに傾けて落とすと…。力が伝わりません。
スタートは前傾姿勢をとり、地面をしっかり押し込んで進みます。中間走からはボールペンのように足の裏から頭まで一直線に保ってスピードに乗っていく。地面からの反力を活かし、後ろ足の膝が前足を追い越すようにして両足を回転させる。
それには当然、筋力も必要ですし、タイミングよく足を回転させる技術も必要になります。全国区の選手を何人も育てた大学の陸上部の監督は「走りはニュートン力学だ」とおっしゃっていました。
数年前には長距離の厚底シューズが話題になりました。厚いソールの中に何が入っているか。あるメーカーのシューズには、カーボンファイバーの炭素繊維のプレートが入っています。反発するバネのようなものですね。
理論は常に進化しています。日本の男子100メートルには「10秒の壁」がずっとありました。1998年に伊東浩司選手が10秒00を出した。そこから桐生祥秀選手が2017年に9秒98を出すまで20年近く掛かりました。コンマ2秒を縮めるのに。
選手だけじゃなく、指導者、用具、食事など多くの要素があって記録が出るんですね。陸上は単純なようですが、すごく奥深いんです。
(山田)どこまで行きますかね。
(寺田)研究は日々進んでいます。陸上を研究する大学教授は「これ以上選手を速く走らせるには、自分が科学的に新しい理論を考えないと駄目だ」とおっしゃっていました。
それぞれの子供に合った走り方もありますし、年代によっても違ってきます。根性論ではなく、指導者の学びも大事になりますね。
(山田)勝利至上主義をどうしていくか、という話にも繋がりますね。今日の勉強はこれでおしまい!
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