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アニメと東京。 描写精度の高さに驚かされた『さらば愛しきルパンよ』から“ネオ東京”が舞台の『AKIRA』まで

SBSラジオ「TOROアニメーション総研」のイチオシコーナー、人気アニメ評論家の藤津さんが語る『藤津亮太のアニメラボ』。今回は「アニメと東京」というテーマでお話を伺いました。※以下語り、藤津亮太さん

これが東京⁉︎ 驚きの姿になっている……

まずは、アニメに登場する「東京」を見ても、現実の東京に行った時に、ぜんぜん参考にならない!?作品を紹介します。

1作目は『AKIRA』。本来の東京はアキラの力によって爆心地、クレーターになっているんですが、舞台になっている東京は「ネオ東京」というところで、東京湾上にできた海上都市なんです。なのであれを見ても東京の参考にはなりません! ちなみに爆心地は、当時の『AKIRA』の制作スタジオがあった場所、という設定です。

2作目は『コードギアス』。神聖ブリタニア帝国が支配している世界の物語で、東京の土地の上に建設された人工地盤の上に、ブリタニアの貴族などが住む「租界」があるという設定です。支配された日本人は、租界の外、「ゲットー」と呼ばれる貧しい地区に住んでいます。

3作目は80年代を代表するアニメの1つ『未来警察ウラシマン』ですね。これもネオトキオというものが出てきますが、舞台は2050年なんで、現在の東京の面影はほぼありません。

あとおまけで付け加えますと、『新世紀エヴァンゲリオン』の第3新東京市。これはそもそも、箱根に建設された都市になります。

リアリティのある東京も

東京がいわゆる“聖地巡礼”の参考になるレベルで、精度高く描かれたのは、おそらく1981年の『ルパン三世』の第2シーズン最終回「さらば愛しきルパンよ」が最初でしょう。新宿から中野にかけての風景がかなりリアルに、画期的ともいえる精度で描かれています。終盤には夜の西新宿の高層ビル街の間を飛行するシーンもあります。これは当時インパクトがありましたね。

もう1つは異世界転生もののはしりともいえる1983年の『聖戦士ダンバイン』。主人公はバイストン・ウェルという異世界に転移しているんですが、物語の中盤でこっちの世界へ敵と共に戻ってきます。そして、敵ロボットと戦闘を行なった結果、新宿にミサイルが落ちて大変なことになる「東京上空」(第16話)というエピソードがありました。架空のロボットが現実の新宿を破壊するというインパクトある描写でした。

あともう1つは『幻魔大戦』。こちらも1983年のアニメ映画ですが、これも新宿の街並み、西口の高層ビル街から東口側の繁華街までがとてもリアルに描かれていますし、吉祥寺のアーケードの商店街なんかもそのまま描かれているので、結構印象的な作品です。

1985年発売のOVA(オリジナルビデオアニメ)『メガゾーン23』は、発売当時の東京が舞台なので、今見るともうなくなった建物などが残っている。当時の美術は、今ほど空間的に正確に描く時代ではないですが、あそこには懐かしい80年代の東京の風景が残っています。

最近だと、『ラブライブ!スーパースター!!』は表参道あたりを舞台にしていますね。

とはいえアニメで描かれた東京は、フィクションという鏡に映った東京です。実際に上京して、“聖地巡礼”する際には、当然ながら現実の地図を見ていくのがいいと思います。(3月27日放送)

SBSラジオTOROアニメーション総研(毎週月曜日19:00~20:30 生放送・毎週日曜日15:00~16:30 再放送)全国のアニメ好きが集まるラジオの社交場。ニッポンのアニメ文化・経済をキュレーションするラジオ番組。番組公式X(旧Twitter) もぜひチェックを!

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