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コロナ禍で急増「帯状疱疹」、原因・対策を感染症専門医に聞く

水ぼうそうのウイルスが長年潜伏、再活性化

新型コロナウイルスの流行からもうすぐ3年、帯状疱疹(たいじょうほうしん)の患者が世界的に急増しています。もともと中高年に多い疾患でしたが、最近は20~40代の若年層にも増えているそうです。今回は、浜松医療センター 感染症管理特別顧問の矢野邦夫先生に、SBSアナウンサー原口大輝がお話をうかがいました。
※1月19日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

神経痛、慢性化のおそれも

原口:あらためて、帯状疱疹とはどんな病気なんでしょうか。

矢野:子どもの頃に水ぼうそうに感染した人は、ウイルスが神経の中に何十年も潜伏感染しています。潜伏感染は何も症状がなくウイルスがそこにいるという状況です。高齢やがん・ストレスなどによる免疫低下によってウイルスが再活性化し、帯状疱疹が引き起こされます。

原口:もともとあったウイルスが表面上に出てくるということなんですね。帯状疱疹にかかると、どんな症状が出ますか?

矢野:帯状疱疹では、神経に沿って痛みを伴う小水疱(水ぶくれ)が多発します。合併症として一番問題となるのは神経痛です。数か月または何年も続く、慢性的で厳しい神経痛の方がおられます。高齢者ですと、ごはんが食べられなくなることもあります。

原口:この帯状疱疹、どこに症状が出るかで注意が必要と聞いたことがあります。

矢野:例えば、目や耳の神経が傷ついてしまうと、視力低下や難聴などを引き起こします。また、運動神経を傷つけると腕が上がらなくなるとか、尿道系の神経が傷つくとおしっこが出ない排尿障害などにつながることもあります。

ストレスが一つの要因か、50代以上の方はワクチン接種を

原口:コロナ禍で帯状疱疹が急増したとのことですが、どんな要因が考えられますか。

矢野:本当のことはまだわかりませんが、コロナ禍でみなさんストレスを感じていますよね。ストレスは免疫を落としますので、これが大きな原因の一つではないかと言われています。

原口:帯状疱疹にならないよう、何か対策はありますか?

矢野:帯状疱疹の予防にはワクチンがあります。遺伝子組換えワクチン「シングリックス」が利用できます。このワクチンは50歳以上の成人を対象としていて、2か月の間隔で2回接種します。従来からある水痘ワクチンも帯状疱疹の抑制にはなりますが、効果は5年程度ですので、シングリックスをおすすめします。

原口:ワクチンの対象は50代以上とのことですが、50歳未満の方々は、帯状疱疹にかからないためにどんな対策をしたらよいですか。

矢野:帯状疱疹はストレスが大きな問題です。お仕事や学校でストレスがたまりそうなことがあれば、なんとか避けてほしいですね。

原口:ストレスをためないことが大事になってくるんですね。

新型コロナ・インフルエンザ 同時に流行中

矢野:現在、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスが同時流行しています。新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスのワクチン未接種の方は、今からでもワクチン接種をしてください。新型コロナウイルスのオミクロン株対応ワクチンは重症化予防にとても有効であることがわかりました。また、大きなクラスターを作らないように、会食は少人数でお願いします。

原口:ワクチン接種が大事なんですね。矢野先生、ありがとうございました。

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免責事項
今回お話をうかがったのは……矢野邦夫先生
浜松医療センター 感染症管理特別顧問。1981年名古屋大学医学部卒業、名古屋第二赤十字病院、名古屋大学病院を経て米国フレッドハッチンソン癌研究所留学。帰国後、浜松医療センターに勤務。同院在籍中、ワシントン州立大学感染症科に短期留学。2008年より副院長、2020年より院長補佐。2021年より現在に至る。医学博士、感染症専門医。著書多数

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