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【教員の精神疾患療養が急増】コロナ禍でストレスも業務も増加…負担減らし働きやすい環境へ

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「教員の精神疾患療養が急増」。先生役は静岡新聞論説委員長橋本和之です。
※SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」で放送したものを編集しています。
 

(橋本)精神疾患で長期療養する教職員が、コロナ禍以降、県内で大幅に増加したことが、県教委への取材でわかりました。長期療養者は、特別支援学校の教員や、新規採用からまだ年数の浅い教員に多い傾向があり、近年長期療養者の増加が続いていた中で、コロナ禍の影響で状況が加速したとみられます。

(山田)25日の静岡新聞に出ていましたね。

(橋本)1面トップの記事で使っていて、ちょっと目についたので取り上げてみました。

対象は、県内公立学校と県教委事務局で、精神疾患が原因で30日以上連続の長期療養をした教職員の方です。2022年度は280人、近年を見てみると、19年度が204人、20年度210人、21年度が263人と増えていき、特に22年度は多かったということです。

(山田)本当にだんだんと増えていっていますね。

(橋本)その少し前から見ても、増加傾向にあるようですが、21年度にぐっと増えていることを見ますと、コロナ禍が影響したんじゃないかなということだと思います。

(山田)コロナ禍、先生たちがかなりストレスを抱えた部分があるってことですよね。

(橋本)お子さんたちにコロナを感染させてはいけないとか、感染防止のためにやらなきゃいけないことが増えましたよね。授業はリモートも取り入れられましたし、新しいことに対応しなきゃいけない、教室の消毒などもやらなきゃいけないということで業務負担が全体的に増しました。プレッシャーや業務の重さが、患者さんの増加に繋がっているんじゃないかということのようです。

(山田)先生たちも覚えなきゃいけないことが多くなっているんでしょうね。

多忙化で、教員のなり手も減少

(橋本)21日の静岡新聞朝刊の一面には、公立校の教員の補充が追いつかず、県内では定員に対し小中学校の教員が84人不足しているという記事が出ていました。多忙化が、いろんなところに影響を及ぼしていると。

人が少なくなればそれだけ1人の先生にかかる業務の負担も増えますから、さらに負のスパイラルですよね。そういう面で精神疾患に陥ってしまうということもあるということなんじゃないかと思います。

(山田)大半の先生たちが、生徒のことを思って大変な業務を頑張ってくれてるという前提の上ですが、「ちょっともう、先生無理だ」って思う人が増えてきちゃってるってことですよね。

(橋本)なり手が減ってますから、やめてしまった人の補充も十分にできないということもあるでしょうし、いかに教員の多忙化を解消し、先生方の負担を減らしていくかが、社会全体として取り組まなきゃいけない方向性なんじゃないかなと思います。

特別支援学校、新任の先生に顕著


(山田)細かく見ていくと25日の静岡新聞の記事には、特別支援学校の教員たちの話題が上がってますね。

(橋本)長期療養された方を分析すると、特別支援学校の先生、あるいは新しいところに赴任してからまだ間もない先生方が多いと。慣れないということもあると思うんですけれども。特別支援学校の場合は、基礎疾患を持ってらっしゃるようなお子さんもいたりするので、コロナ禍で、通常の学校よりも感染にさらに気をつかわないといけない。

最初の頃、感染予防ってどこまですればいいのかわからず、手探りの部分もずいぶんあったと思うんですね。そうした中で通常の教員の業務をこなし、プラス感染症対応もしなきゃいけない。そういうことが影響してるのではないかと思います。

(山田)あとは新規採用で、赴任してから間もない若手の先生たちですね。

(橋本)周りがフォローできればいいですけども、他の先生方も、自分の業務がいっぱいあり十分にフォローできない、相談にのってあげられないってこともあったんじゃないかと思います。そうした結果、体調を崩したり、精神疾患に陥ったりしてしまうということなのでは。

(山田)先生になって未来の日本を担う人材を育てようと思って、教員採用試験に合格して、いざ教壇に立ってみたら、忙しくてストレスだ、そしてコロナもあって、先生辞めちゃうーっていうのがなんか悲しいですよね。

(橋本)それを何とか防がなきゃいけない。例えば、業務を一部切り分けて事務的なことだけをやる方を配置したり、若手に対して相談体制を手厚くしたりするような施策をやっています。最近話題になっていますが、部活動に外部の人材を活用しようという話も進んでいます。

業務負担を減らし、やりがいのある職業に

(橋本)新型コロナが5類に移行したことに合わせて、精神疾患を患う方も少なくなっていけばいいですが、これからもっと増えるようでしたら、さらに何か原因があるということになります。対応をもっと手厚くして、教員のサポートをしていかなきゃいけないんじゃないかなと思います。

(山田)ものすごいやりがいがある仕事じゃないですか、教員って。でもそれだけじゃカバーできなくなっている。

(橋本)いろんな手立てが講じられていますので、それによって環境を改善していき、やりがいも感じられ、業務の負担の重さを感じずに仕事をやっていけるようにしていかなくては、と思います​。教育がどんどん衰退していくようだと、国も衰退してきますよね。だから本当に考えなくてはいけないことだと思います。

(山田)企業としても、これから入ってくる人材が、ちゃんとした先生がいない中で育ってきたってなっちゃうと困りますよね。一緒に考えていきましょう。今日の勉強はこれでおしまい!



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