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【過去最多となった外国人労働者】日本は果たして働きやすく住みやすい国なのか?共生社会の実現に向けて必要なこととは?

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「過去最多となった外国人労働者」です。先生役は静岡新聞の高松勝ニュースセンター専任部長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年2月12日放送)

(山田)今日は外国人労働者の話題ですね。

(高松)はい。1月26日に、厚生労働省が2023年10月時点の外国人労働者数について、過去最多の約204万人だったと発表しました。

(山田)今はコンビニエンスストアに行っても、特に深夜の時間帯のアルバイトさんは日本人の方が珍しいなというぐらい外国人の方が多いですよね。

(高松)そうですね。静岡に限らず、東京でも外国人の留学生の方が多いですよね。コンビニは見た目にも分かりやすいですが、静岡県内では製造業の工場、農業や介護、建設業の現場など多くの職場で外国人の方がたくさん働いています。

これは今に始まったわけではなく、1990年の入管法改正が一つの契機になっています。それからもう30数年になります。

(山田)特に静岡県の西部地域とかは多いですよね。最初に聞きたいのは、外国人労働者が増えることはわれわれにとって良いことなのか、悪いことなのかということなんですが。

(高松)国が1993年に外国人技能実習制度を作り、その後、一種の改良版として「特定技能」という制度ができました。それは国として、外国の方に日本に来てもらい、定住しながら働いてもらおうという政策決定をしているということです。

日本国内だけでは働き手が確保できない!?

(高松)良いか悪いかは価値観の問題になります。ただ、少なくとも外国人の方に働きに来てもらわないと日本国内で働き手が確保できないという考え方に舵を切っているのは事実です。製造業や建設業などを取材していると、外国人の方がいなくなったら困るという中小企業もたくさんあります。現実的にそういう状況になっていることは間違いありません。

(山田)なるほど。その上で、静岡県でも外国人労働者が増えているという話ですね。

(高松)今、国内全体がどうなっているのかというと、日本に住んでいる外国人は300万人を突破しています。これは日本の人口の2.5%に当たります。

国の研究所では、50年後には10%ほどを占めると試算しています。当然、働いている方だけではなくてその家族も増えていくので、これから外国人の方の高齢化や医療福祉の問題がより顕在化していきます。

2%というと、50人に1人は外国人ということになります。学校で言えば、1クラスに1人は外国人がいる計算です。実際に静岡県の西部地域などは、小中学校には外国人の子どもが多くいる状態が当たり前になっています。

人口減少社会や高齢化社会が進んで日本人の働き手が減ってきている中で、AIやロボットの導入はあるにしても、外国出身の方が職場にいなければ日本の社会は回らない、という状況が生まれています。この中で、どうしていくべきかということを考える必要があります。

(山田)そのどうするかという部分ですが。

(高松)世界では米国や欧州でも、外国出身の方とどのように働いていくか、どう共に生きていくのかということは、大げさに言えば国を二分するような議論になっています。米国のトランプ元大統領の考え方を巡る論争にはまさにこの問題が現れています。国民の価値観、ものの考え方などを含めた議論になっていくので、難しい面があります。

(山田)非常に難しいですよね。

世界では人材獲得競争が


(高松)現行の外国人技能実習制度には課題があるので、日本の政府はより良くしようという議論を進めています。少しでも外国の方が日本に住みながら専門性を生かして働きやすくなるようにしようと。その背景には、円安などで外国の方々が日本よりも他国のほうが働きやすいと思うようになってきているという事情があります。

(山田)日本で働くよりも別の国で働いたほうがいいということですか?

(高松)はい。実際、海外の各国の方が、日本より賃上げ率が高くなっているとの調査結果があります。日本は賃金が上がらず円安のデメリットもあるとなれば、ほかのアジア諸国や先進国で働いたほうがメリットがあると考えるようになると思います。

(山田)そう言えば、先日ハワイに行ったときに、日本人の男の子が日本よりもハワイでアルバイトしたほうが稼げると言ってました。

(高松)おそらく外国の方も同じロジックになっているのだと思います。例えば介護の現場でも、日本よりも別の国の施設で働いた方が賃金がいいとなれば、そちらに行ってしまいます。今は世界的に給与や待遇の面でさまざまな競争が生まれているので、必ずしも日本が選ばれるわけではない事態になっています。

日本は給料もいいし働きやすいだろうという意見を口にする方も多いですが、実際はそんなことはありません。諸外国との人材獲得競争が起きていて、中国やインドに専門性の高い高度人材が流れています。今はそういう面の対策も考えていかなければなりません。

(山田)いろいろと考えなければならないところがありますね。冒頭のお話では、外国人労働者が多くなる中で、われわれと一緒に暮らしやすくするためには課題があるということだったと思います。一方で、日本が働く場所として選ばれなくなってきている中で、来てもらいやすくすることを考える必要があるということですね。

(高松)現実問題として外国人の方も含めて日本を回していく制度設計をしていかなければなりません。価値観の醸成、教育、社会保障などいろいろなことを考える社会にしていく必要があるんですが、そこがまだ道半ばという状態です。

外国人労働者の方にもインタビューしたことがありますが、日本語が堪能だったり日本の文化が好きだと言ってくれたりして、こちらが気付かされる部分もありました。多文化共生という言葉がありますが、日本人がさまざまな国籍の方々とどのように生きていくかというのは現代の日本人が直面している大きな課題だと思います。一人ひとりが外国人の方と話してみるとか、その国の文化に関心を持つということをするだけでも、この問題は大きく変わるのではないかと思います。

(山田)そうですね。ありがとうございました。今日の勉強はこれでおしまい!

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