
参議院議員選挙 静岡選挙区について、法政大学大学院の白鳥浩教授と振り返ります。
<LIVEしずおか 井手春希キャスター>
トップ当選は、国民民主党の榛葉賀津也氏、75万票以上を獲得しました。次いで、自民党の牧野京夫氏が42万6000票余りを獲得。追い上げる参政党の松下友樹氏をかわし当選しました。投票率は、前回3年前の選挙戦を6.54ポイント上回り59.51%となりました。3連休の中日で投票率低下が心配されましたが、高い投票率となりました。
<滝澤キャスター>
一定の関心があったということだと思いますけれども、白鳥さん、この結果をどう振り返りますか?
<法政大学大学院教授 白鳥浩教授>
榛葉氏の個人的な人気というのが非常に強かったということもあるとは思うんですけれども、やはり静岡県内でも国民民主党の支持の嵐というのが吹き荒れた。2議席目はやはり結果的には牧野さんの持っている自民党の堅い組織票というのに支えられた。そういう選挙で逃げ切ったという結果になったんだろうと思います。
<滝澤キャスター>
結果的には松下氏に13万票ほど差をつけて当選となりました。牧野氏です。ただ、気になるのが、今回の選挙の台風の目となった参政党ですよね。この勢力についてはどう分析しますか。
<白鳥教授>
基本的にヨーロッパとかアメリカで最近言われているようなポピュリズム政党というのに近いんだろうというふうに思っています。この世界的にも支持を集めているポピュリズム政党ですけれども、基本的には外国人の問題を取り上げたり、あるいは減税を言ってみたり、今の日本の政党とかなり近いそういった意味で同じことが日本でもついに起きているということが言えると思うんですね。
<滝澤キャスター>
アメリカ人ファースト、日本人ファーストこうした考えが世界的に支持を集めつつあるということなんですね。では、今回の選挙は何を争うものだったのでしょうか、振り返ります。
<井手キャスター>
今回の参院選について、SBSとJX通信社がインターネットを使って、共同調査を実施しました。事前登録されたネットモニターの中から県内在住の方に対し、ランダムに配信し答えを集めました。有権者が重視した政策は、圧倒的に「物価高対策」がです。では、物価高対策として何を望んだかと言うと、「消費税減税」が6割以上を占めました。

<滝澤キャスター>
「現金給付」を「消費税減税」が大きく上回りましたがこの結果はどうでしょう?
<白鳥教授>
基本的にはそもそも何でこんな物価高になっているのか。これは今までの政権の政策がまずかったんじゃないかっていうところは皆さん思ってたんだと思うんですね。結局それで現金給付も2万円しかもらえない。それよりは、長期間にわたって持続的に消費税の減税の方がよかった、という風な民意の表れという風に思えます。
<滝澤キャスター>
政権批判の表れというところでもある訳ですね。そして現金給付今後進んでいくのか気になるところではあるんですけども、どうでしょうか。
<白鳥教授>
これですね。これだけ選挙の結果が明瞭に出てしまいますと現金給付のためには補正予算を組まなきゃいけないんですが、その補正予算案が多分恐らく通らない。そうすると現金給付はできないという公算が高くなってくると思います。
<滝澤キャスター>
結果的にはできない可能性もあると。続いては、年代別の投票で参考にした媒体です。

<井手キャスター>
オールドメディアと呼ばれる、新聞・テレビと答えた人は、60代が多いですね。一方で、SNSなどを参考にした人は、50代以下の現役世代が多くなっています。
<滝澤キャスター>
このデータを見ると、やはり発信したい年代に合わせて伝え方もそれと変わってくるのかなと思うんですが、どうでしょうか。
<白鳥教授>
はいおっしゃる通りです。基本的にはここの今回躍進した参政党であったり、国民民主党というのは右側のこのXとかYOUTUBEなどを積極的に発信することによって、ターゲットをやはり若者層、現役層というものに絞ってたということが言えるんだと思います。
出口調査を見るとそれに対して、自民党あるいは立憲民主党みたいな既成政党はこちらの新聞テレビなどの影響が大きかった。それが如実にこのどのメディアに触れているのか、メディア接触の変化によって政党選択ってのが異なるということは分かります。
<滝澤キャスター>
このあたりも注視していかなければいけないですね。
<白鳥教授>
そうですね。
<滝澤キャスター>
そして全国的に見れば、衆参で「自公過半数割れ」となりました。こうした結果を受け、石破総理大臣が7月21日午後、会見を開きました。
<石破茂内閣総理大臣>
「私どもは、この結果について謙虚に真摯に受け止めなければならないと考えております。重大な責任を痛感しながらも、政治を停滞させないよう、漂流させないよう、地方の皆様方の声も丁寧に、真摯にお聞きをしながら比較第1党としての責任、そして国家国民の皆様方に対する責任を果たしていかねばならない。このように考えております」
<滝澤キャスター>
石破総理は、「続投」の意向を示していますが、党内では石破降ろしが、という声が聞かれるという情報も入ってきています。このあたり政権運営は今後どうなっていくんでしょうか。
<白鳥教授>
基本的にはもう石破首相は辞めざるを得ないところにまで追い詰められると思うんですね。いつ辞めるかということなんだと思います。おそらく8月1日のトランプ関税の期限で、結局交渉がうまくいかなかったということで、引責辞任にするというのが一番良いのではないかというふうに思います。その後で新しい総裁を選んで連立の枠組みを考えるということもあるかもしれませんが、まずはやはりその新しい総裁、総理がですね。国民に支持されるかどうかというために、その解散総選挙ということを考える。そういう政治日程になるのではないかっていうふうに思います。
<滝澤キャスター>
大連立というのもあり得るんでしょうか。
<白鳥教授>
まあ、可能性としてはないわけではないですけれども、今は非常に難しいんではないでしょうかね。