
静岡選挙区で圧倒的支持を得た榛葉賀津也氏は、参議院議員選挙で5期目の挑戦を成功させた。「1票の責任を感じた選挙」と語る榛葉氏は、選挙期間中わずか「4日間」ではなく「4時間」しか地元に戻れなかったという異例の選挙戦を展開。国民民主党幹事長として、過半数割れの可能性が高まる与党に対して「政策実現」を軸に、今後の政治戦略を語った。
「4日間というより4時間」地元不在でも勝ち抜いた選挙戦
国民民主党・幹事長の榛葉賀津也氏は、7月20日の参議院選挙・静岡選挙区で5期目の当選を果たした。当選確実の報を受け、榛葉氏はSBS静岡放送のインタビューに応じ、「6年前は大変厳しい選挙で1票の重みをつくづく感じた選挙だったが、今回は、ほとんど選挙区の地元・静岡に入ることができなくて、仲間に守ってもらった選挙だった」と振り返った。
今回の選挙戦の特徴について、榛葉氏は「4日間というよりも4時間だ。1日1時間ですぐ次に行ったので」と説明。国民民主党・幹事長という要職のため、全国各地での応援演説などで静岡県内での選挙活動は極めて限られたものだった。
それでも榛葉氏は「SNSをはじめ、また多くの従来は我々ではなく自民党を支持していた方々からもお声がけいただいて、とにかく国民民主党の『対決より解決』の姿勢が好きだと応援している、頑張ってほしいと大きな手応えを感じた選挙だった」と語った。
立憲民主党との関係「政策実現に集中して戦った」
今回の選挙では、立憲民主党が静岡選挙区での候補者擁立を見送り、榛葉氏の支援に回るという展開となった。6年前の前回選挙では、立憲民主党が榛葉氏に対抗馬を立てて激しく争った経緯がある。
この点について榛葉氏は「私は立憲さんも対抗候補を立ててくる覚悟で準備をしてきた。ただ、6年前は立憲民主党が私のところに刺客候補者を立てて激しく競り合って、いろんな意味で各分野で体力を消耗したところもあった」と振り返った。
一方で「今回、立憲さんがそういうご判断をされたことは、連合静岡さんもご尽力されたと思うが、隣の神奈川でも、隣の愛知でも、立憲さんと戦っているから。そういった意味ではご支援いただいたことは大変ありがたいが、我が党は国民民主党の政策をしっかりと訴える、それだけに集中して戦わせていただいた」と述べた。
与党の過半数割れも…「未知の世界に突入する」
インタビュー時点で、与党が参議院で過半数割れとなる可能性が高まっていたことについて、榛葉氏は「結果を見ないと分からないが、ひょっとすると衆議院でも参議院でも与党過半数割れという可能性がある。比較第一党がどこになるのか、こういう状況は過去なかったから、未知の世界に突入する」との見方を示した。
そのうえで「どこと組むかという数合わせよりも、国民は何をやってくれるかという政策実現、これを求めていると思う」と強調。「我々は公約として訴えた手取りを増やす、とりわけ103万の壁を178万に引き上げる、そしてガソリン減税等々、そういったところをどうするのか」と政策実現に向けた姿勢を示した。
また「まずは自民党内の党内政局、石破さんは、これもう持たないかもしれない。そうすると、これからまた自民党の中がどう動くのか。それも見据えて冷静に判断しながら政策実現を求めていきたい」と述べ、自民党の動向を見極める考えを示した。
石破内閣との連携には否定的「消費税より国民生活を守るべき」
与党過半数割れの場合、国民民主党が政権に入る可能性について問われた榛葉氏は「少なくとも今の石破内閣と連携する気は全くない」と明言した。
その理由について「やっぱりこの国の目的というのは国の懐を豊かにすることではなくて国民の懐を豊かにすることだ。選挙途中で幹事長が『何が何でも消費税を守りきるんだ』と発言されたが、守りきらなければならないのは税ではなくて国民生活だ」と批判した。
さらに「国民生活を守るために税があるのであって、その手段と目的が取り違えた政治というのは、国民は納得するわけがない」と強調。「国民を豊かにするためにどういう法律、どういう税制なのか。6兆円も毎年この5年間平均して税金を取り過ぎ、税金の使い残しは7兆円、去年から今年は税収12兆増だ。で、国民生活はほぼ変わっていない」と指摘した。
「これなんで政治が我々国民に対する当事者意識がないのか。国民に寄り添わない政治に対して国民がまさに決断判断を下した選挙だと思う」と今回の選挙結果を総括した。
今後の政治状況「政局ではなく政策実現のために判断」
今後の政治状況については「これからですね、政界が大きく変わりますから、やっぱり最終的には数なので、我々の政策に共感してくれる他党とどう連携していくか、それは冷静に政局ではなくて政策実現のために判断していきたい」と述べた。
今回の選挙で5期目の当選を果たした榛葉氏は「この選挙ほど1票の責任を感じた選挙はない。しっかり結果を出して政策実現のために、この任期6年間頑張っていきたい」と決意を語った。
与党が過半数割れという異例の政治状況の中で、国民民主党と榛葉氏がどのような役割を果たしていくのか、注目が集まっている。