
相続税や贈与税を算出する際に基準となる土地の価格「路線価」が7月1日、公表されました。静岡県内全体の平均は15年ぶりにプラスとなりましたが、専門家は価格の「多様化」が課題だと指摘します。
<静岡県政担当 坂口将也記者>
「静岡市の中心街、県庁や駿府城公園からほど近いこちらの場所に、新たなマンションが建設されています」
「静岡の代官山」とも呼ばれ高い人気を誇る、静岡市葵区の鷹匠エリア。この一角で建設が進む新築マンションは、地上19階建ての造りで新たな街の顔として期待が高まっています。なかなか市場に出ない一等地。事業者としても念願の土地だったといいます。
<ヨシコン不動産開発事業部 田中優帆さん>
「鷹匠というエリアは非常に歴史もあって由緒正しく、静岡の中でも人気のあるエリアですので、選んだというよりは、まさにこの土地を探していたというような形でございます」
県内では、いま、こうした一部の人気エリアを中心に高値での取引が進むなど、好立地の争奪戦が激しくなっています。こうした状況は、土地の評価額の基準となる路線価にも表れました。
国税庁が7月1日に発表した路線価で、2025年の県内全体の平均変動率は、2024年に比べプラス0.2%となり、現在の計算方法になった2010年以降で15年ぶりに上昇に転じたのです。
県内で最も高かった地点は、46年連続で静岡市葵区の紺屋町名店街呉服町通りで、2024年に比べ2.6%高い118万円と、コロナ前の水準に回復する傾向となりました。県内で最も上昇率が高かったのは、静岡県熱海市田原本町の平和通りです。高い観光需要が影響し2024年に比べてプラス15.2%の38万円、3年連続での上昇となりました。
一方、人口減少などを背景に地価が下がり続けるエリアもあり、専門家は、この「多様化」が課題だと指摘します。
<芝口不動産鑑定所 芝口直樹鑑定士>
「同じように見えても、ここはこの間台風の水害が起こったから、同じような利便性だけども選択されないとか多様化してるというのは、事業者サイドの選別の目が厳しくなっていると感じる。山間地域のいわゆる田舎と言われるようなところは(地価低下の)傾向が、歯止めがかからないのかなという気がしている」
鑑定士の芝口さんによるとしばらく路線価の回復基調は続く見込みということですが、人口が減り続ける限り、格差の拡大が懸念されます。