【2025年公示地価】首都圏だけじゃなく静岡も価格上昇!今後の動向は?消費者目線で今の状況を考える

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「2025年公示地価」。先生役は静岡新聞の高松勝ニュースセンター専任部長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」2025年3月24日放送)

(山田)今日は公示地価、土地の値段の話ですね。

(高松)1年前にも同じ話をしたのですが、国土交通省が1月1日時点の公示地価を今年も発表しました。土地の取引や資産の評価をする指標として、全国の指定された箇所の1平方メートルの価格を、不動産鑑定士が鑑定して示すというものです。この他にも、都道府県が主体となる「基準地価」や、国税庁の「路線価」といったものもあります。

昨年、公示地価の話をしたときに、非常に上昇率が上がってきていると話したんですが、今年はさらに上がってきています。

(山田)静岡の話になる前に、首都圏はとんでもないことになってますね。

(高松)そうですね。もちろん首都圏も非常に高いですが、今年の特徴は、外国人向けの別荘需要なども含め、全国の地方の地価が上がっている点です。首都圏だけの異常な状態ではなく、全国的に上がってきているというのが、消費者の目線ではちょっとどうなのかなと思うんですが。

 静岡県でも地価は上がっており、静岡県の対前年比平均変動率は、住宅地が0.0になり、17年ぶりにマイナス圏を脱したということです。商業地も0.6、工業地も0.8という変動率で、プラス圏内に入っています。これまで沿岸部は厳しいと言われていましたが、都市部だけではなくて、沿岸部でもちょっと下げ止まりの傾向が出てきていて着実に回復してきているという状態ですね。

(山田)静岡の土地の価格の上がり具合とか、具体的にどこが高いっていうデータも出ているんですか。

(高松)いわゆる都市部と言われるような、静岡市などの中心部の利便性の良い場所はもちろん非常に堅調ですが、熱海などの観光地が強いというのも近年のトレンドになっています。

 沿岸部など、少し中心部から外れていても利便性が多少良かったりする土地がきちんと評価されてきています。東日本大震災から14年が経過し、ようやく沿岸部でも取引が出てきているというところが、今のポイントかなと思いますね。

(山田)津波の影響で、沿岸部は皆さん避けていたところがあるのかもしれませんが、今はもう、そんなことがなくなって来ているわけですね。

(高松)そうですね。海外からマネーや人が流れ込んできている状況があり、全国トレンドからすると、首都圏だけではなく主要観光地へ、あとは半導体などの工場誘致によっても、お金が流れ込んできている部分がありますね。

地価が上がっている上に、金利も上昇


(高松)消費者の話に移ると、金利が上昇局面になっているというのが、また痛いところです。

 地価自体が上がっている中、日銀が政策金利を0.5%に上げているので、住宅ローンがじわじわ上がってきていますよね。土地の価格は上がってきている上に、住宅ローンもこれからまだ上がる可能性があります。

(山田)家が買いにくくなる…?

(高松)景気の流れ方や金利の上昇をどう見るかも含めて、家を買いたい方たちからすると、なかなか悩ましい段階に入ってくるんじゃないかなと思います。

(山田)それで給料は上がってないっていうことですから、買えないですよね。

(高松)いわゆる実質賃金というものですが、物価や金利の上昇と賃金上昇率が適正にかみ合っているかという話になってきます。この間、春闘がありましたが、住宅ローンなどの連動も含めて、賃上げ率、幅をどう見ていくのかということが出てくると思います。

(山田)これから結婚して、土地買って家建てようと思っている人はどうするんだろうな。

(高松)住宅メーカーや不動産業者も、そのあたりのことはもちろん考えています。例えば、利便性が良い場所で総面積を少し小さくして値ごろ感を出す、リノベーション的な物件を出していくなど、選択肢をたくさん増やして需要喚起するというようなことは当然あると思います。

 今後の見通しを考えると、今は供給サイドにおいて、首都圏を中心に上昇圧力がまだ強いので、しばらく価格の上昇が収まらないと思います。今後、地価の上昇が続いた時に、経済を適正に刺激するのかどうかっていうところですよね。

 東京などではもう新築は土地建物付きで1億円近い感じになってきてしまっているので、当然、購買者が限られてきて、業者もどうしても高所得者層をターゲットにしていく部分もあると思うんですよね。確かに、海外の投資家も含め、高所得者が景気を引っ張っていくという要素はあるので、経済的には地価が上がっていくことのプラス効果はあるかもしれません。ただ、そんな人たちばっかりじゃないですからね。

(山田)リスナーの方からは、「自分の住んでいる地域の土地の値段が上がっているのかわかりませんが、沼津のららぽーと周辺は新築がバンバン建ってる気がします」というメッセージがありました。

(高松)首都圏を含めて、マンションに住むという一つの動きもありますね。マンション需要があり、静岡、浜松に加えて、熱海や三島などにもたくさん建てられています。

ですから、もちろん供給サイドの議論というのはあるんですが、需要のある側からすると、住宅ローンとの絡みも含めて、分譲マンションにするのか持ち家にするのか、あるいは賃貸との兼ね合いをどう見るのか、ライフプランに合わせて考える必要があります。金利の上昇局面にあるので、その見極めが難しいですよね。

(山田)静岡は、土地の価格はここから下がっていくんですか?

(高松)人口減少などで土地を売っても売れないという状況になったり、金利が過度に上がり、高い値段では買いにくいという環境になってくると、必然的に落ち着いていくとは思うんです。でも、まだその状況は当分ないだろうなと思います。

地価高騰の今、何を考えるべきか


(山田)今回、静岡県内で特に価格が上がったところはありますか。

(高松)数字としては、変動率的に高いのは熱海です。あとは県東部の長泉、三島は割と上昇率が高かったりしますね。あとは、私鉄沿線の住宅地などは、今年急に上がったわけではないですが、数値が高い傾向です。多少離れていても一定の利便性があるところにきちんと買い手がついてるという状況はあるかなと思いますね。

三島などは、東京への通勤圏になっているので、マンションも首都圏の人たちが買っているという話もあります。テレワークがある程度進んで毎日通わなくていい場合もあり、「静岡に住んで、東京圏で勤務する」というのは、交通費がある程度出る会社だったら全然OKですよね。

(山田)そうか。

(高松)首都圏へ千葉や埼玉の奥地から通うよりは割安なのではないかと思いますね。

(山田)リスナーから「しばらく家の購入は見送るつもり」という声もありました。逆に、高い時に土地を買って売ることを考える人もいますが、その場合ってどうなんでしょう?

(高松)全体の経済の位置づけとしてこの状況が適正かどうか考えるときに、土地の価格がある程度上昇傾向にあるのはいいんですが、やっぱり大事なのは、適正な賃上げですよね。金利分も含めて、安心してそれを払えるだけのお金を持っているような所得環境になっていかないと、買い控える方向へ行ってしまいます。そうなると、経済において全部が逆回転してしまうということがあるので、やはり賃上げはすごく大事かなと思います。

それと、見極めがやはり大事ですね。特に土地取得はライフスタイルとの相関で、「住まい方」や「生き方」、人生設計と直結しますので、情報に踊らされず、しっかり考えていただくしかないかなと思います。

(山田)今日の勉強はこれでおしまい!
 

SBSラジオで月〜木曜日、13:00〜16:00で生放送中。「静岡生まれ・静岡育ち・静岡在住」生粋の静岡人・山田門努があなたに“新しい午後の夜明け=ゴゴボラケ”をお届けします。“今知っておくべき静岡トピックス”を学ぶコーナー「3時のドリル」は毎回午後3時から。番組公式X(旧Twitter)もチェック!

関連タグ

あなたにおすすめの記事

人気記事ランキング

ライターから記事を探す

エリアの記事を探す

stat_1