【ガソリン価格の高騰】生活のあり方は変わるのか? 税金の使われ方は?身近な問題から考える経済学
(高松)ガソリンの価格高騰が止まりません。今月にはレギュラーガソリン1L当たりの全国平均小売価格が最高値を更新しました。
(山田)ちょうど今日車を見たら、ガソリンが少なかったんで帰りに入れておこうと思ったんですけども、今どれぐらい行きました?
(高松)基本的にはもう4カ月近く値上がりが止まらないような状態で、180円台ですね。
まずは全体の状況について説明します。電気、ガス、軽油も含めて同じような状況ではあるんですが、ガソリンに関しては産油国が供給を絞っていたり、ウクライナ侵攻があったりして、国際的な状況が不安定になっています。さらに、コロナが明けて経済活動が活発になってきて、国内のガソリンの需要が上がってきています。
だから、元々海外の供給が不安定なところに、日本の中でガソリンを使うという需要が出てきたっていうこともあり、必然的に値段が上がってしまっているという状況です。
(山田)需要も関係あるんですね。
(高松)あと、円安も関係しています。仕入れのときにすごく円安が進んでしまっているので、ドル建てで買ったりということもあります。
ウクライナの情勢と国内の需要が増えたこと、円安の影響で購入価格が上がっていることによって、ガソリン価格の高騰が止まらないという状況になっているんです。
(山田)大変ですよね。1キロ進むのに一体いくらかかっているのか…。
補助金に一定の効果、でも原資は税金
(高松)岸田文雄首相が年末まで、補助金による支援を延長すると表明したので、懸念されていた9月末での補助停止は今のところなくなりました。170円台をキープしたいというような目標のようなので、年末までは補助金が止まらなければ、170円台でいくのではないかとはされています。(山田)補助金が外れたら190円とか200円で推移するっていう話でしたもんね。だから、補助金の支援が延長されて一応は良かったっていうことでいいですか?
(高松)ただ、全てではないですが、補助金というのは基本的には国民の税金が原資になっているので、皆さんが納めた税金が補助金に回っているという見方もできます。企業や個人の生活上の補助にはなるんですが、お金の回り方から見ると、納めたお金が使われているという意味では、ちょっと微妙なところがあります。
(山田)そうか、結局税金ですもんね。
(高松)今皆さんが車で外出するときに、ガソリン価格が高いというのは大問題なんですが、軽油の値段も上がっています。トラックとかタクシーのような運送業界も、非常に経費が上がってしまっていて、中小企業の業績に対してかなり大きなダメージになっています。
企業も物を運ぶためのお金が非常にかかっていて業績が厳しいですし、一般家庭もガソリン代の家計における割合が高くなってしまっていて苦しいという状況です。ガソリンは企業、一般家庭の双方にとって負担要素が大きいので、一定の補助金の効果はあるとは思います。
生活のあり方を見直すきっかけに
(山田)今後、ガソリン価格の動きをどういうふうに僕らは見ていけばいいんですか。
(高松)生活のあり方を変える契機になるのかどうかっていうところに注目したいです。
コロナ以降、この2年ほど電気代とガス代が上がっていまして、今はガソリンや軽油の方にも値上がりの流れが来ています。使わないわけにはいかないんですが、どういうふうに生活防衛するのがいいかというのは一つのポイントだと思うんです。
例えばガソリンを使わないという意味で、全部EV(電気自動車)など違う燃料での輸送手段を考えるっていうことも方法としてあります。ただ、電気代も今非常に高いので、EVにしたところで劇的には安くならないと想定されます。また、国内で多少EVの販売台数が伸びてきているものの、まだ大幅には増えていないので、「脱ガソリン」が企業ベース、家庭ベースでどうできるのかということが一つあるのかなと思います。
(山田)われわれとしてはガソリンを使わない生活を選択していくべきでしょうか。
(高松)ガソリン、軽油などは言ってみれば石油由来の燃料。車に乗らずに歩くなど、エネルギーを使わない生活をすることも大切だと思います。ただ、企業はものを運ばないわけにはいかないので、石油由来の燃料を使わずに、違う燃料でというのはなかなか難しいと思うんです。
1人1人の個人が、どういうふうに、こういった化石燃料に頼らない生活をするのか。省エネや脱炭素という意味で、難しいですが生活のあり方を見直す一つの機会にはなるかなと思います。
(山田)確かにそうですね。ただ今おっしゃった通り難しい。
(高松)どうしても1円でも安いガソリンスタンドを探し回るみたいな話になりがちです。それはそれで重要な議論だとは思います。ですが、もう少し大きな見方をすると、ロシアのウクライナ侵攻が始まった辺りで石油の需給がおかしくなってきているし、ガソリンや電気、ガスの議論にしても、中国など多くの国がどんどん使うと、当然エネルギーが足りなくなるということがあります。
エネルギーの問題は各国の動きや戦争など大きな世界構造が非常に関わっていて、それがわれわれの目の前の料金が高くなるという話につながっています。原発の再稼働の問題なども含め、われわれの生活に全部つながっているという視点から、考えていけばいいのではないかというふうに思います。
また、ガソリンなどの油は元々すごく税金がかかっている分野なんです。今回の補助金の話もそうですが、何に税金がかかっていて、自分たちの払った税金がどういうふうに使われるのかっていうのを考える入口としても、このガソリンの議論ってのは興味深いんじゃないかとは思います。
(山田)このことを、経済の勉強をしていくきっかけにしていけたらと思います。今日の勉強はこれでおしまい!
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