
7月20日に投開票を迎える参院選の主な争点について、シリーズでお伝えしています。2回目は「コメ政策」についてです。
「いただきます」
静岡県袋井市の袋井南中学校です。袋井市では、地元産のコメや野菜を積極的に使い「地産地消」にこだわった給食を提供しています。
<生徒>
「給食が僕の学校へ来る理由ですね。ご飯が大好きなので、何度もおかわりしてしまいます」
<生徒>
「(給食の時間が)すごく楽しみです。2,3時間目にはお腹すいた~って感じですいつも」
生徒たちが毎日、心待ちにしている給食。しかし、この給食が今、大きな壁に直面しています。
<袋井市おいしい給食課 芝崎智則主幹>
「2024年度の9月にコメの価格が約1.5倍上がりまして、令和7年度につきましては(給食費を)上げざるを得ない状況になりました」
歴史的なコメ不足による価格高騰を受け、静岡県袋井市では2025年度から1食あたり10円から30円、給食を値上げしました。品数や栄養価などは維持していますが物価高が進む中で苦渋の決断だったといいます。
<芝崎主幹>
「皆さんに負担していただいている分、できるだけ安価にはと目指しているんですけど。栄養価の高い給食に今後もこだわって出していきたいと思っています」

歯止めがかからないコメの価格高騰を受け、政府は、備蓄米の放出を決断。6月23日から29日までに全国のスーパーで販売されたコメ5キロの平均価格は、前の週より129円下がり3672円となりました。備蓄米の大量放出などにより6週連続の値下がりとなりましたが、以前までの2000円台にはほど遠い状況です。
静岡県焼津市のコメ農家、杉本一詩さんです。32年間コメを育ててきた杉本さんは、そもそも、これまでのコメの価格が安すぎたと話します。
<コメ農家 杉本一詩さん>
「1キロのお米をお茶碗一杯に換算すると大体65円から70円くらい。じゃあ65円でこんだけお腹いっぱいになる食べ物ほかにありますかという話ですね。我々も1年かけて、こういう風に草をとりながら1年かけてつくった、たったお茶碗一杯が65円。安かろうと思います」
生活ができずに農家を辞める人が後を絶たないと話す杉本さん。政府には、農家の生活を安定させる政策を進めてほしいと訴えます。
<杉本さん>
「生活の安定が取れれば、田んぼやりたい、お米作りたいという人が増えてくると思います。とにかく生活の安定を求めますね」
長引くコメの価格高騰。消費者にとっても、生産者にとっても納得できる政策が求められます。
<LIVEしずおか 滝澤悠希キャスター>
コメ政策については今回の参院選で大きな争点の一つとなっています。静岡選挙区に立候補している7人はどのように考えているのか、SBSは独自にアンケート調査を行いました。
まず、国民民主党の現職・榛葉賀津也候補は「政府が米価に介入せず、価格が下がっても農家が農業を続けられる所得を国が補償する制度を創設する」としています。
無所属の新人・村上猛候補は「流通経路の見直しをする。備蓄米を放出した後ちゃんとした指導ができるよう仕組みを作る」と話します。
諸派・NHK党の新人・福原志瑠美候補は「戦後、GHQの農地改革で大規模農業が困難になった歴史がある。まずは大規模農業を可能にし自給率向上を図るべき」と述べています。
参政党の新人・松下友樹候補は「購入が困難な低所得者にはおコメクーポンの支給を検討するべき」としています。
共産党の新人・鈴木千佳候補は「増産に切り替えてゆとりある需給と備蓄をする。農家には再生産できる所得補償・価格保証を」と話します。
自民党の現職・牧野京夫候補は「減反政策を見直し、増産を促す。新規就農者の育成、農地集約化や大規模化を促進する」と述べています。
諸派・無所属連合の新人・山口香苗候補は「備蓄米は税金で購入したものでなぜ国民が再び購入しなければならないのか疑問。配布で良かったのではないか」としています。