止まらない人口減少 若者の県内定着へ…企業は奨学金返済を肩代わり 参議院選挙の争点・静岡【選挙の日、そのまえに。】

7月20日に投開票を迎える参議院選挙の主な争点について、シリーズでお伝えしています。最終回は「人口減少対策」です。

<静岡県 鈴木康友知事>
「今の出生率を考えると、人口が減少していくということは、しっかり受け止めなければいけない現実だと思う」

静岡県の深刻な課題となっている人口減少。県の推計で、6月1日時点の県内の人口は349万8440人。ついに、350万人を下回りました。少子高齢化による「自然減」のほか、若者の首都圏などへの流出による「社会減」により人口は、減少の一途をたどっています。

富士市にある「松本産業」。自動車用ゴム部品や接着剤などを専門に扱う商社です。若者の県外流出を防ごうと7年前、学生時代に奨学金を借りた従業員の返済を支援する制度を始めました。事務を担当する土屋美沙希さんは、この制度を利用し15年の返済期間を5年に短縮することができたといいます。

<松本産業 土屋美沙希さん>
「いずれ結婚して子育てするという上で、15年間毎月返済するのはちょっと不安なところもありました。とてもありがたいですね。実際いま子どももいるので、ここでプラス毎月返済があると多分大変なんですけど、もう返済し終わっているので、今はもう子育てに専念ができている」

松本産業は、従業員の奨学金の返還を支援する事業者に対して、9割補助するという静岡県富士市の制度を活用しています。

<松本産業 松本剛史常務>
「特に我々のある富士市には大学はありません。高校を卒業した学生は基本的には静岡や東京に行ってしまいます。その後に我々のような企業を選んでくれた学生、その人たちにはより働きやすい環境を提供したいということで始めました」

若い働き手のライフプランを支え、企業の採用活動も後押しする奨学金の返済支援。

2024年から、独自の制度を始めた会社もあります。公共施設やマンションの建設などを幅広く手掛ける沼津市の佐藤建設。入社1年目から10年目までは、最大で年12万円、11年目から20年目までは年間24万円を支援しています。

沼津市には、年間24万円を上限に奨学金の返済を補助する制度もありますが、独自の支援で更に手厚くしているのは、人手不足が深刻な建設業界に危機感を感じているからだといいます。

<佐藤建設 佐藤宗徳社長>
「これから本当に誰も経験してこないような人口減少時代に入っていきますので、やはりなんとかしていかなきゃいけないという危機感を持っています。行政の支援制度だけではなくて、民間と連携して、地方に働き手を呼び戻す、そういうような政策の方を期待したいですね」

歯止めがかからない人口減少は、静岡県の深刻な課題で参院選の争点の一つでもあります。静岡選挙区に立候補している7人はどのように考えているのでしょうか。

国民民主党の現職・榛葉賀津也候補は「若者が暮らしや子育てをしやすい環境・税制を創造し成長力のある新たな産業や企業を生み出す」としています。

無所属の新人・村上猛候補は「小さい頃から地元の行事などに参加してもらい、仲間意識を育てる。大きな祭りでは町内対抗で地域意識を育てる」と話します。

諸派 NHK党の新人・福原志瑠美候補は「若者の起業支援や補助制度を東京以上に手厚く整えその情報を効果的に広報していく」と述べています。

参政党の新人・松下友樹候補は「0歳から15歳の子ども1人につき、母親に月10万円を給付して専業主婦を選択しやすい環境をつくる」としています。

共産党の新人・鈴木千佳候補は「出産・保育・教育の負担を思い切って軽減する。賃上げと安心して働き続けられる職場・社会にする」と話します。

自民党の現職・牧野京夫候補は「行政・企業・地域が連携し雇用の創出・PRなどに努めUターンや県内定着を促進していくことが必要」と述べています。

諸派 無所属連合の新人・山口香苗候補は「子どもを産みやすい・育てやすい街づくりが必要。移住制度や空き家のリノベーションへの支援金を充実させる」としています。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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