百日ぜき患者、コロナ禍以降で早くも年間最多タイ 幼児~学童期の感染に注意、ワクチンの追加接種有効 静岡県内

 激しいせきが特徴の百日ぜきの流行が静岡県内でも続いている。県が16日に発表した直近1週間(5~11日)の患者数は23人となり、年間患者数はコロナ禍以降で最も多かった2020年の150人に達した。患者は、ワクチンの定期接種から数年が経過して免疫が低下した幼児期から学童期の子どもが中心。乳児にとっては重症化リスクが高く、日本小児科学会は就学前と11~12歳の任意の追加接種を推奨している。
 百日ぜきはワクチンで予防でき、乳児は生後2カ月から計4回の定期接種が求められている。だが、定期接種を受けた大半の子どもが就学前には感染防御に有効なレベルの免疫力を下回るため、定期接種前や接種から間もない乳児は、せき症状のある周囲からの感染が懸念される。
 日本周産期・新生児医学会も5月に入り、小児のほか、妊婦や医療従事者、乳児に接する家族らへの接種も考慮する必要があるとする注意喚起を会員に発出した。ただ、急激なワクチン需要を受けて製薬会社は限定出荷を始めていて、県内の医療関係者は「かかりつけ医に相談の上で接種の検討を」と呼びかける。
 追加接種を希望する患者が多く訪れる静岡厚生病院(静岡市葵区)小児科の田中敏博診療部長は「ワクチンが最も有効な予防策になる。生まれてから定期接種が始まるまでの乳児を守るために、欧米で普及し、実績のある妊婦の接種も有力な選択肢」と強調する。
 初期は風邪症状から始まり、次第にせきが激しくなる。田中診療部長は受診目安として、熱がなく元気だが、しつこいせきが出る▽夜間のせきがひどい▽せきが長引く▽家族や友人が百日ぜきと診断された中でせきが出始めた―を挙げる。
 百日ぜきは学校保健安全法で、特有のせきが消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまでを出席停止期間の基準に定めている。

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