黒潮大蛇行は「漁業」だけでなく「気象」にも影響 高潮リスク・蒸し暑さ・雨の激しさも…終息で今後どうなる?

7年9か月にわたって続いていた「黒潮大蛇行」が終息する見通しであると気象庁が5月9日に発表しました。気象庁は、黒潮の流れが変わることから魚の種類や漁場の位置に影響が出るとして、最新の情報を確認するよう呼び掛けています。また、黒潮大蛇行は、漁業だけでなく気象にも影響があります。

その一つが「海面水位の上昇」です。2017年と2019年の台風では静岡市清水区などで高潮による浸水被害がありました。これも黒潮大蛇行が影響したと言われます。海水温が上がって、熱膨張することで、海面が上がって、浸水被害が起きやすくなります。直接的な原因は台風ですが、高潮被害のリスクを高める一つの要因となる訳です。

海洋研究開発機構の美山主任研究員によると「静岡県沿岸では20センチ~30センチぐらい通常より海の高さが上がる」といいます。

また、海面水温の平年差を示した図では、2024年5月は、赤いラインのように黒潮大蛇行が見えます。一方、2025年5月は、ほとんど赤いラインが見られません。平年とほとんど変わっていないことが分かります。黒潮大蛇行に終息の兆しがあると言えそうです。

また、水温が高くなれば海水が蒸発しやすくなり、夏の「蒸し暑さ」や「大雨が降る時に激しさが増す」ことにもつながります。日常生活や防災対策に直接、影響してくることになります。

黒潮大蛇行の終息で今後はどうなるのか。海と気象は切っても切れない関係だからこそ要因が一つに絞り切れません。まずは、長期的な目で黒潮大蛇行の影響をしっかり見つつ、大蛇行の終息による変化にも目を向けていくことが必要です。

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