江戸の東海道、旅する気分に 名所を段ボールで再現 静岡の造形作家 藤枝で6月展示会

展示予定の段ボール製の人形などに囲まれるたたらなおきさん=4月中旬、静岡市葵区千代田 「東海道五十三次」の浮世絵に登場する名所の数々をほぼ実寸大の段ボールで“再現”し、江戸時代の旅情を追体験してもらおうと、造形作家のたたらなおきさん(60)=静岡市葵区千代田=が6月に開く展示会の準備に励んでいる。自宅で学習塾も経営するたたらさんは「読書も大事だが、体験の教育効果が一番。たくさんの子どもに来てほしい」と話す。

 展示は、たたらさん自らが著者の「痛快歴史マンガ 東海道中膝栗毛」(静岡新聞社、2024年9月出版)に登場する「ヤジさん・キタさん」ら多くのユニークなキャラクターにいざなわれる形で「各地」を巡る趣向。東海道五十三次のうち、最終的に三十数カ所の名所を再現予定という。
 由比では薩埵峠から富士山を眺められるほか、丸子ではかやぶき屋根のとろろ汁屋の模型の中で休憩できるようにする。大井川では蓮台(れんだい)に乗って川越人足に担がれたり、四日市では強風に飛ばされるかさを拾ったりできる構図を再現する。全てが段ボール製で、アクリル絵の具で着色した。
 「江戸時代に“タイムスリップ”するうちに江戸っ子になった気分になれるかも」と話すたたらさん。一部の作品は、たたらさんのフェイスブックで見ることができる。現在は展示会に合わせて披露する人形劇の脚本や展示の解説文作りに余念がない。自宅は展示予定の人形などでほぼ埋まっている部屋がある。
 会場は藤枝市郷土博物館・文学館で、400平方メートルほどの展示室を段ボール製の立体展示物などで埋め尽くす。展示は6月7日から7月21日まで。問い合わせは、同施設<電054(645)1100>へ。

 <メモ>東海道中膝栗毛 江戸時代後期の滑稽本。弥次郎兵衛・喜多八コンビのドタバタ道中が人気を集め、「日本初『旅ブーム』」を起こしたとされる。作者の十返舎一九は現在の静岡市葵区出身。静岡、藤枝両市は2020年、「弥次さん喜多さん 駿州の旅」の構成文化財が「日本遺産」認定を受けた。一九は「江戸のメディア王」とされる版元の蔦屋重三郎に才能を見いだされ、日本初の職業作家となったとされる。

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