
20日の現地調査で、弁天島海浜公園付近の入り江の浅瀬に約200~300株のアマモが確認された。砂地から約30~40センチの緑色の細長い葉を伸ばし、湖畔の海流に揺れていた。
弁天島での潮干狩りを主催してきた浜名漁協弁天島遊船組合の組合長で、浜名湖ネイチャーズの会長を務める間瀬泰成さん(67)は「10年ほど前には弁天島のどこにでも生えていたアマモが、5年前から姿を消し、その後、アサリもいなくなった」と指摘。「願い続けたアマモが復活して本当にうれしい」と話す。
「海のゆりかご」と呼ばれるアマモは、魚や貝など多様な生物の生育に重要な役割を果たす。光合成によって酸素を作り出し、水中の汚れを吸収する機能も持つ。近年の研究でアマモ場の存在がアサリの生育と密接に関係していることが明らかになっている。
間瀬さんたちは約5年前からアマモの保全活動を始め、種を採取して育成し、成長した苗を移植する取り組みを重ねてきた。風や潮の流れでアマモの種子が流されるなど困難に直面しながら、3年前に浜名湖ネイチャーズを立ち上げ、メンバーとともに地域住民にも環境保全への理解や協力の輪を広げてきた。
昨年、湖西市新居町付近でもアマモが確認され、今年になって群生化していることから、弁天島でも同様に増殖していく可能性がある。間瀬さんは「潮干狩りが再開できるようになれば、浜名湖も活気を取り戻せる。まだアマモの数は少ないが、少しずつ増えていけば」と期待を寄せた。