アマモ、弁天島に5年ぶり“復活” アサリ生育に役割 浜名湖、潮干狩り再開へ期待高まる

約200~300株の定着が確認されたアマモ=20日午後3時ごろ、浜松市中央区の浜名湖弁天島 浜名湖の弁天島(浜松市中央区)沿岸で、アサリの生育に重要な海草のアマモが約5年ぶりに確認されたことが21日までに、浜名湖の環境保全に取り組む浜松市の市民団体「浜名湖ネイチャーズ」の調査で分かった。潮干狩りの名所だった弁天島は、自然環境の変化でアサリが姿を消しつつあり、アマモの“復活”とともに、潮干狩りの再開に期待が高まっている。
 20日の現地調査で、弁天島海浜公園付近の入り江の浅瀬に約200~300株のアマモが確認された。砂地から約30~40センチの緑色の細長い葉を伸ばし、湖畔の海流に揺れていた。
 弁天島での潮干狩りを主催してきた浜名漁協弁天島遊船組合の組合長で、浜名湖ネイチャーズの会長を務める間瀬泰成さん(67)は「10年ほど前には弁天島のどこにでも生えていたアマモが、5年前から姿を消し、その後、アサリもいなくなった」と指摘。「願い続けたアマモが復活して本当にうれしい」と話す。
 「海のゆりかご」と呼ばれるアマモは、魚や貝など多様な生物の生育に重要な役割を果たす。光合成によって酸素を作り出し、水中の汚れを吸収する機能も持つ。近年の研究でアマモ場の存在がアサリの生育と密接に関係していることが明らかになっている。
 間瀬さんたちは約5年前からアマモの保全活動を始め、種を採取して育成し、成長した苗を移植する取り組みを重ねてきた。風や潮の流れでアマモの種子が流されるなど困難に直面しながら、3年前に浜名湖ネイチャーズを立ち上げ、メンバーとともに地域住民にも環境保全への理解や協力の輪を広げてきた。
 昨年、湖西市新居町付近でもアマモが確認され、今年になって群生化していることから、弁天島でも同様に増殖していく可能性がある。間瀬さんは「潮干狩りが再開できるようになれば、浜名湖も活気を取り戻せる。まだアマモの数は少ないが、少しずつ増えていけば」と期待を寄せた。

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