
ミュージアムは2021年に日本平動物園、24年に富士サファリパーク(裾野市)と連携協力協定を締結した。研究や展示のための動物試料を求めるミュージアム側と、標本の作製ノウハウや保管場所が不足していた飼育施設側の課題を解決することが目的。教育普及活動を展開する狙いもある。
同動物園では動物の死骸は基本的に火葬し、標本作製のために残す場合でも特徴的な部位にとどまっていたという。協定締結後約130点をミュージアムに寄せ、このうち企画展では21年に難産に伴う循環機能不全で死んだキリン「サクラ」の全身とその子どもの頭部の骨格標本のほか、1970年から2022年まで人気を集めたアジアゾウ「シャンティ」の鼻の液浸標本などを見ることができる。動物園の担当者は「生きていた時を知っている人も多く、姿を残せることはありがたい。命の大切さや生態を伝え、愛され続けるだろう」と話す。
ミュージアムの西岡佑一郎准教授(40)によると、近年動物の輸入が難しくなっている上、地方の博物館が老朽化などで標本を手放すケースもみられるという。「動物をその土地で保存しデータベースに登録することで、将来的に国内外の研究や教育に役立つ可能性がある」と意義を語った。
企画展は8月3日まで「大地の動物」、同5日~11月3日に「水の動物」の骨格標本や剝製を展示し、哺乳類の特徴や進化の様子を紹介する。