
東宝とネットフリックスによる韓国のクリエーターを交えた協働企画。映画「新感染ファイナル・エキスプレス」のヨン・サンホ監督をエグゼクティブプロデューサーと脚本に据え、サンホが東宝の特撮映画から「ガス人間-」を選んだ。世界配信で連作ドラマにすることが決まり、片山監督に白羽の矢が立った。
「撮影が決まるまで『ガス人間-』は見たことがなかったが、悲恋物語をきちんと描いていて60年代の日本映画らしいと感じた。特撮映画にあれだけのドラマを詰め込むことは、当時も今もあまりないのでは」
「ゴジラ」で知られる本多監督が撮った原作は土屋嘉男が演じる特殊な能力を持つガス人間と、八千草薫扮[ふん]する日本舞踊の家元を中心に物語が進む。特技監督には円谷英二の名がある。ビターな人間ドラマが多い片山監督にとって、SFの要素が強い本作はこれまでにないタイプと言える。
「リメークが前提になっているので、オリジナルとは異なるものになるだろう。SFやスリラー、ホラーといったジャンルはずっと手がけてみたかったので(製作が)楽しい。今までより広い層に伝えることを意識し、いろいろ勉強しながらやっている」
サンホから片山監督への接触は、東宝からの「ガス人間」監督のオファーより前だったという。
「『さがす』(2022年公開)を作っていた頃にメッセージアプリで連絡が来た。韓国でも放送されていた(片山監督作品の)『さまよう刃[やいば]』を見て『すごく良かったです』といったファンレターのような内容。その後に東宝のプロデューサーから『ガス人間』の話をもらい、サンホ監督の名前も出た。そういうことだったのかと思った」
脚本を自分で手がけることが多い片山監督にとって、海外脚本に取り組むのは大きなチャレンジだ。
「書かれていることの意図を読み取った上で、文化的な違いもあるので細かいところを自分で書き直して整合性を取っている」
2月の静岡市内での撮影は主演2人の登場場面が中心だった。
「小栗さんは背が高く立ち姿が絵になる。アクションも達者なので格好良く撮ろうと思っている。蒼井さんは昔から好きな俳優さん。ナチュラルな演技が魅力なので、こちらが作りすぎず、彼女が持つ感性をうまく引き出したい」
配信は来年の予定。
「CG(コンピューターグラフィックス)ありアクションありのスリリングな展開。日本のドラマにはない要素がたくさんある。期待して待っていてほしい」