
再開に合わせ、フェリーの後方デッキには金色の舵輪(だりん)の模型を置いたフォトスポットが新たに設けられた。船体や船内の座席なども色を塗り直すなど〝化粧直し〟して乗船客を出迎えた。
初日は乗船料が無料とあって、出航前から岸壁には長い列ができた。数年ぶりに乗船するという静岡市葵区の鈴木八重子さん(77)と海野久代さん(80)は「再開を楽しみにしていた。土肥金山に寄ったり、魚介類を買ったりしたい」と声を弾ませて船に乗り込んだ。初回の便には満員となる約300人が乗船し、地元の園児らに見送られて出航した。定員オーバーのため次便を待つ人もいた。
フェリーを運営する一般社団法人ふじさん駿河湾フェリーの山本東理事長(62)は「フェリーが伊豆半島の西海岸の玄関口として定着し、周遊につながるようにしていく。旅行の選択肢として選ばれるよう乗船時間の満足度を高めたい」と話した。
駿河湾フェリーは1月7日からの定期点検で岸壁とフェリーをつなぐ「台船」に穴が開いているのが確認され、運休期間が当初予定の1カ月から3カ月に延長された。ターミナル移転に伴い、徒歩と自転車利用は台船なしでも乗船が可能になったが、車両の積載ができるようになるには数カ月かかる見込みという。