旅先納税、静岡県と5市町が連携 駿河湾フェリーを核に消費拡大狙う 返礼で電子通貨、共通利用可

現地決済型ふるさと納税の広域連携のイメージ 静岡県は2025年度、旅行先などで寄付し、返礼品としてその土地でサービスを受けられる「現地決済型ふるさと納税(旅先納税)」の広域連携をスタートする。駿河湾フェリーの運営を担う静岡、伊豆、下田、南伊豆、松崎の3市2町とともに、各市町で共通して使える電子通貨を発行し、フェリーを核とした周遊促進と旅行消費額の拡大につなげる。旅先納税の広域連携は県内初で、全国的にも珍しいという。
 旅先納税は、旅行先の飲食店や宿泊施設で寄付ができ、額に応じて現地で使える電子通貨などをその場で返礼品として受け取れる仕組み。自治体単体での導入は進んでいるが、複数自治体が連携して行う取り組みは例が少ない。
 広域連携はスマートフォンなどでいずれかの自治体に寄付を行うと、納税額の3割分の電子通貨をその場で受け取れる。電子通貨は連携関係にあるどの市町でも使うことができる。
 通貨はフェリーの乗船券購入や船内の売店での使用を想定する。ほかにも利用できる飲食店や観光施設を増やしていき、年内にもサービスを開始する方針。事業費は6800万円で、デジタル庁の交付金を活用する。
 県観光政策課の担当者は「フェリーはターミナルの移転で利便性が上がる。旅先納税と合わせて利用促進に生かしたい」と期待を込める。徐々に電子通貨の利用範囲を県内全域に拡大し、県外自治体との広域連携も視野に入れるという。
 駿河湾フェリーは民間企業の撤退を受け、19年6月に県と6市町でつくる一般社団法人が運営を引き継いだ。移行直後に新型コロナが流行し、コロナ禍が明けた後も輸送人員は回復せず、22年度を除いて5千万~7千万円程度の赤字決算が続いている。

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