天竜杉活用の新作ピアノ完成 遠州楽器制作、浜松の6社も夢実現へ協力

天竜杉を使ったピアノを囲む岩佐社長(左)と、協力した6社の代表=浜松市中央区 浜松市中央区のピアノメーカー遠州楽器制作(岩佐真社長)は4日、「メード・イン浜松」をコンセプトに、天竜材を活用し、地元企業6社が素材加工や部品提供に協力した新作アップライトピアノの販売を開始したと発表した。“楽器のまち・浜松”をPRする。
 同社のブランド「ENSCHU(エンシュウ)」シリーズ。天竜杉の質感を生かした落ち着きのある外観と、音を吸収して反響を抑え、木目の繊維に沿って音が伝わる特性を生かし「澄んだ音を響かせつつも、ぬくもりある音を放つ」(同社)のが特徴。ハンマーの一部に軽量の木材マホガニーを使い、指のタッチも軽快という。上前パネルを開放構造とし、同日の発表会で演奏を披露した浜松在住のピアニスト朝岡さやかさんは「前から音を浴びる感覚。出せる音色の幅も広い」と表現した。
 国産ピアノは輸入材が中心。「天竜杉のピアノ」の実現の夢を訴えて地元を回ったところ、市内企業から協力の快諾を得た。外装の天竜杉の加工はマルシン伊藤工芸、弦を打つハンマーが今出川ハンマー製作所、鍵盤の動きが伝わる機構はトキワ製作所が提供。塗装関係をウチゲン、ペダルなどのパーツは渡辺商店が関わった。椅子の座面にあしらった地元伝統の遠州綿紬(めんつむぎ)はぬくもり工房が協力した。
 コストにこだわらず「作りたいものを作り、新たなユーザーを掘り起こすことを狙った」と遠州楽器制作の長嶋保博工場長。岩佐社長は「浜松のものづくりや、技術を持つ企業が健在であることを世界に発信したい」と意気込む。
 販売は時価とするが、目安として350万円超を見込み、受注生産で直売する。納期は約1年前後。

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