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世界で最優秀賞!浜松の誇る「遠州小落花」のピーナッツバター(杉山ナッツ)

絶滅寸前だった世界一の落花生が浜松で復活

世界で最優秀賞を受賞した遠州生まれの落花生をご存知ですか?

その名は「遠州小落花(えんしゅうこらっか)」と呼ばれ、1904年にセントルイス万国博覧会にて世界で一番おいしいと評価された浜松生まれの落花生のことです。現在は、世界中でも浜松市西区にある「杉山ナッツ」の農業でしか栽培されておらず、とても貴重なものです。


これを原料100%として作られる希少な「ピーナッツバター」は、栽培から焙煎、殻むきや加工、そして包装まで全て杉山ナッツで手掛け、作られる数量も限られます。毎年20000本がすぐに完売し、知る人ぞ知る幻の商品となっているのです。

今回は、そんな世界一の味を守り続ける「杉山ナッツ」代表の杉山孝尚さんにお話しをお伺いしました。


 

世界一の味を残す為、NYから帰国し農家へ転身

杉山さんは、もともとアメリカのNYで会計士として働いていました。その時にふと目に入った経済新聞紙「ウォールストリートジャーナル」の記事の中で「遠州小落花」の存在を知ります。

アメリカで日常的に食卓に並ぶピーナッツバターですが、まさか故郷である遠州の落花生が世界一を受賞していたこと、そして、これを使って世界一美味しいピーナッツバターを作れるのではないか、という可能性を感じ、遠州小落花について興味を持ち始めます。




しかし、万博で世界一を受賞したのは100年以上前の話。当時は落花生の共同組合が存在するくらい浜松でも生産が盛んでしたが、次第に担い手が減り、生産者がゼロになっているという現実に驚きます。

帰国後、当時の文献や資料を調べ尽くします。まだ漢文で表記されるくらい古い資料もあったそうです。その中で当時の共同組合員の連絡先を見つけ、連絡が付いたのが組合員だった農家さんのひ孫にあたる方でした。
 
「遠州小落花を作っていた畑です」と案内された場所は雑木林。しかしよく見ると、その中に遠州小落花が力強く自生していたのです。

「興味があるならどうぞ」と、手のひら一つ分の落花生を譲り受けた杉山さんは、


『これがなくなったらこの世からこの落花生がなくなってしまうのではないか・・・』


そんな気持ちから、農業への転身を決意。世界一の落花生を使った世界一のピーナッツバター作りを目指します。
 

遠州でしか作れない落花生

最初の3年間はピーナッツバターを作らず、種を作り出すことだけに専念します。そして4年目から世界一の落花生を使った加工がスタートです。

土づくりには地元で手に入る浜名湖のカキ殻や海藻などを利用し、化学肥料や農薬は一切使用していません。安心安全ということはもちろんですが、その種が生まれた遠州の風土や自然に寄り添って育てることが、一番美味しく育つという理由からです。

 
収穫は10月になり「遠州の空っ風」と呼ばれる浜松特有の強い風が吹き始めるタイミングで行います。その後1ヶ月間は畑で天日乾燥させ、風に当てながら実の中の糖度を上げていきます。

遠州小落花の生産者が既にいなかったことから、栽培方法も古い文献から見つけ出し、先代の知恵を紐解きながら杉山さんしか作ることができない最高の味を生み出しています。
 

無添加なのにピーナッツバターの味を変えるプロの技

収穫後、すぐに焙煎してから殻をむき、ペースト状にしていきます。主に3つ条件を組み合わせながら、作りたい商品に合わせて綿密に計算し、ブレンドして何百通り以上の商品を完成させます。



まずは「大きさ」です。花が咲くタイミングや温度管理、肥料、水を調節して収穫時期を計算し、大中小と3種類に作り分けます。小さいものが味は濃厚で甘く、大きいものは油が多いので滑らかな舌触りになるなど、それぞれの特徴があります。

次に「焙煎方法」です。浅煎りから深煎りまで7段階にまで分けることができます。香ばしさを残したいのか、もしくは抑えたいのか、商品によって調節していきます。

最後に「渋皮」です。渋みのバランスを考えて渋皮を削る割合を決めます。


このようなこだわりの強さからもプロの料理人から支持が高く、要望によって料理に合わせたピーナツバターを作りだすことができます。
 
加工は11月から始まり、全て注文を受けてから加工し始め、出来立てを届けます。毎年5月~6月には売り切れるので、そこから畑作業に切り替えます。つまり、今季の製造が終了すると、次の11月まで手に入らない貴重な商品なのです。


「ワインも○年物といって、同じワイナリーから作っても毎年違う商品を楽しみにしていますよね。それと同じで、ピーナツバターも毎年同じものは作らないです。」


今年はどういう商品を目指して、なぜこの商品を作ったのか、そんな想いも伝える為に商品に付くしおりには文章で想いが綴られ、内容も毎年変わります。

このように、杉山ナッツのファンは毎年新しい味を楽しみに待っているのです。
 

これさえあれば、自宅で簡単に高級料理店の味!

杉山ナッツの商品は「ピーナッツバター」という名前ですが、油も砂糖も入っていない遠州小落花100%のペーストになります。パンに塗って食べるだけでなく、実は料理との相性もとてもいいのです。

特に和食もおススメで、ポイントは、香りを逃さない為に火を止めてから優しく溶かすこと。例えば、味噌汁の仕上げに入れてコクを出したり、サバの味噌煮はタレに溶かすだけで高級料理店のような味を表現できます。


貴重なピーナッツバターを料理に使うことに躊躇してしまいそうですが

「少し入れるだけで料亭のような深みのある味に変わるので、使わない方がもったいないですよ!」

とお話してくれました。
 

農業を通して、子ども達の生きる力を育む

「買ってくれる人がいるから農業ができているので、恩返しがしたい。」

そんな想いから、杉山さんは全国の幼稚園から高校までの特別講師として子ども達に農業の魅力を伝えています。
 
また、小学校で使われなくなった朝顔のポットをいかして「一人一株農業」をテーマにしたカリキュラムを実践しています。


子ども達が学校で栽培し収穫した落花生を、一旦、杉山さんが工場で加工して瓶詰まで行います。それをまた子ども達に戻し、パッケージからデザイン、販売方法まで全て任せます。幼稚園だと、保護者も一緒になってサークルやイベントで販売します。


出た利益で学校の備品を買ったり、また落花生を植える費用にしたりと、使い道は子ども達自身が考えます。このように自分の力でモノやお金の循環を体験することを大切にし、農業を通して子ども達の生きる力を育みます。
 
「農業は知的でクリエイティブな分野です。農家=泥だらけ、というイメージが強いですが、農家って大根やニンジンを作るだけじゃないよ。という話をすると子ども達は目をキラキラして話を聞いてくれるんです。」

と杉山さん。



「10年後の就職ランキング1位は農業、という時代を作りたい!」

そんな仕事への熱い想いを持ち、子ども達に夢を与えてくれるカッコいい大人です。
そんなカッコいい大人が作るピーナッツバターを食べながら、お子さんと一緒に「遠州小落花」についてもお話してみてくださいね!

 

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子育て中のママライターがママ目線で発信する浜松地域密着型のあたらしいママ向けスマホメディア「オンモプラス」。子どもが喜ぶ遊び場や、ママたちがホッと一息つける新しいカフェの情報など、子育て世代のママが知りたい情報を網羅。同じママ同士の“わかる!わかる!”という共感を得ています。

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