知らず知らずのうちに摂取している!?
今回は、ナッツ類アレルギーの現状と治療法について、千葉県にある「くぼたクリニック」院長の窪田徹矢先生に、SBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。
牧野:ナッツ類のアレルギーの方が増えているのですか?
窪田:そうですね。かなり増えていて、3年ごとに行われる食物アレルギーの全国調査では、2015年度は8位だったナッツ類が、2018年度には4位に、そして2021年度では3位になっています。 そのナッツ類の中でも、クルミが半数以上を占めています。
牧野:原因は何かあるのでしょうか?
窪田:健康志向の高まりや国内の消費量の増加も背景にあります。また、お菓子やドレッシングなどの加工食品に使用されていることがあるので、知らず知らずのうちに摂取してしまうことが多いのです。
牧野:食感がいいので食品会社も最近入れることが多くなっていますよね。ナッツ類といってもいろいろな種類がありますが、特にどのナッツアレルギーが多いのでしょうか?
窪田:代表的な例としてはクルミ、カシューナッツ、アーモンド、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ココナッツなどが挙げられます。 カシューナッツやクルミなどのアレルギーでは、微量でも重い症状を引き起こすことがあるといわれています。
主な症状
牧野:ナッツ類アレルギーの主な症状を教えてください。窪田:摂取してから15分以内に直接触れた口の中や唇の粘膜が腫れて違和感があったりしびれたり、さらに顔が浮腫んだり、じんま疹、腹痛、ひどい場合には喉が詰まって呼吸困難などが起きることがあります。
牧野:軽い症状の方もいるのでしょうか?
窪田:もちろん、ちょっと口が腫れるとか、ひどい状況があるということではなくて、「なんか違和感があるな」という人の方が多いですね。
牧野:「なんか違和感があるな」くらいだと、原因がナッツ類であると気がついていない人もいるのでしょうか?
窪田:そうですね。わからないまま食べている方も多いと思います。
発症しやすい年齢
牧野:特にどの年齢でナッツ類アレルギーが発症しやすいのですか?窪田:ナッツ類に関しては、年齢別の新規発症の食物アレルギーの調査では、1~2歳で第3位、3~6歳では第1位という結果であり、幼児のナッツ類アレルギーが増えていることが分かっています。ナッツ類アレルギーの内訳は、クルミが約60%、カシューナッツが20%、アーモンドが5%です。特にクルミやカシューナッツをお子さんが初めて食べるときには注意が必要です。
牧野:注意というと、何か変化がないか見ておいた方がいいのでしょうか?
窪田:腫れたり痒みがあるかなどをチェックした方がいいと思います。
牧野:他のアレルギーがすでに出ている人は出やすいということはありますか?
窪田:他のアレルギーが出ていると連続して出る可能性もあるので、注意してみる必要があります。
さまざまなナッツ類
窪田:ナッツ類といってもさまざまな種類があって、なかなかみなさんに知られていないと思います。アレルギーを起こす木の実として、クルミ科の「クルミ」と「ペカンナッツ(ピーカンナッツ)」、ウルシ科の「カシューナッツ」と「ピスタチオ」、バラ科の「アーモンド」、カバノキ科の「ヘーゼルナッツ」、サガリバナ科の「ブラジルナッツ」、アオギリ科の「カカオ」、ヤシ科の「ココナッツ」があります。科によってアレルギーが出る出ないはもちろんあります。アレルギーの多い「クルミ」はクルミ科に属すため、クルミアレルギーの人は同じクルミ科に属する「ペカンナッツ」にもアレルギー反応が出ることがあります。同様に「カシューナッツ」と「ピスタチオ」はともにウルシ科に属するため、同じようにアレルギー反応が出ることが多いです。
検査方法と治療法
牧野:細かいアレルギー検査はあるのでしょうか?窪田:ここまで細かくナッツ類を調べることはなかなか難しいです。基本は病院に行くと、ある程度のナッツ類のアレルギーを血液検査で調べることができます。あとは、食物負荷試験といって、簡単に言えば病院で実際に食べてもらってどれくらいアレルギー反応が出るかという検査があります。
牧野:ナッツ類アレルギーの治療法は例えばどんなものがありますか?
経口減感作療法
窪田:原因である食べ物を、症状が出ない範囲で少量ずつ食べていき、徐々に体を慣れさせていく治療法です。これは、医師の指導が必要な治療法です。食べ物の除去
窪田:アレルギー症状が出る食べ物を除去する治療法です。除去期間は個人差があり、6〜12ヶ月を目安として原因物質の確認と見直しを行なっていきます。薬物療法
窪田:食物アレルギーの症状を抑えるために、薬を処方します。薬によって発作の予防や症状が安定したら薬の使用を中止します。牧野:食物アレルギーに苦しんでいる方が大勢いると思いますが、お伝えしたいことはありますか?
窪田:ここ10年間でナッツ類のアレルギーが非常に増えています。先ほどもお伝えしましたが、お子さんのナッツ類アレルギー。食べものやお菓子などにも含まれており、子どもだとなかなか表現ができないこともあるので、何かしらの症状があればアレルギーかもしれないと思って、早めに病院を受診していただければと思います。
牧野:そこまで影響があるとは思っていなかったので、小さなものでも影響を及ぼすことがあるのですね。非常によくわかりました。ありがとうございました。
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免責事項
今回お話をうかがったのは……窪田徹矢先生
2003年獨協医科大学卒業。その後千葉医療センター、成田赤十字病院で研修。08年国保松戸市立病院泌尿器科医員、09年千葉西総合病院泌尿器科医員、11年千葉西総合病院泌尿器科医長、15年千葉西総合病院泌尿器科部長を経て、17年くぼたクリニック開設。地域に根ざした思いやりのある医療をモットーに、日々診療にあたっている。「筋トレドクター」「バナナ先生」として、YouTubeでも活躍中。