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鼻をすすると子どもの学力にも影響!? 正しい鼻のかみ方とは?

鼻をすすらず正しく鼻をかもう

花粉の季節、朝からずっと鼻をかんでいる人も多いかもしれません。ただ、鼻のかみ方を間違えると大変なことになるようです。今回は「正しい鼻のかみ方」について、JCHO大阪病院耳鼻咽喉科部長を務める前田陽平先生に、SBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。
※3月23日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

牧野:まだまだ花粉症の時期は続くものでしょうか?

前田:スギからヒノキに移行していきますが、ヒノキはおおよそゴールデンウィーク明けくらいまで飛びますね。

牧野:この時期は鼻をかむ頻度がいつも以上に多いと思います。鼻はかんだ方がいいのでしょうか? ズルズルとすすっているだけではダメなんですか?

前田:鼻をすするという行為は、実は医学的にあまりよくないんです。鼻と耳は耳管という管でつながっていて、鼻をすすると耳にも陰圧(耳の圧が低くなること)がかかってしまい、鼓膜がへこんでしまったり、滲出性中耳炎という、一種の中耳炎の原因になる場合があります。

滲出性中耳炎は、耳のつまり感や難聴を起こすことがあります。こういった病気は、大人であれば耳のつまり感を自覚して、耳鼻咽喉科を受診し治療することができます。大人はそのつまり感をよくトンネルに入っている感じといったりします。

この症状はあまり痛みを伴わないので、お子さんの場合はなかなか自覚できないことが多いんです。でも実は学校の授業があまり聞こえていないなど、問題を起こしている場合があるんです。

正しい鼻のかみ方

牧野:子どもたちの鼻の問題は、学力にも影響し得るんですね。それでは、正しい鼻のかみ方を教えてください!

前田:ふたつ大きなポイントがあります。

​1. 片鼻ずつかむこと

片鼻ずつかむことは、鼻にきちんと圧をかけるということで重要です。

2. 強くかみすぎないこと

強くかみすぎないことは耳を傷めないために重要です。強くかみすぎると、鼻と耳はつながっているので耳に圧がかかってしまい、極端なケースでは鼓膜が破れるとか、軽いケースでも耳の方に鼻水が入ってしまって中耳炎になってしまうこともあります。

牧野:私は鼻の奥にある鼻水を全部出したいと思うので、一気に圧をかけて出そうとしてしまうのですが、それはあまりよくないですよね?

前田:どのくらいの強さまでと数字などで言えませんが、耳が痛くなるようであればちょっと強すぎるかなと思います。

子どもへの教え方

牧野:あと難しいのが、小さなお子さんに鼻のかみ方をどう教えるかです。どうすればいいですか?

前田:まずすでに鼻をすする癖のある子が結構います。こういったお子さんは、先ほどお伝えした滲出性中耳炎になりやすい場合が多いので、まずは鼻をすすらないように教えてあげることが大事です。あとは、鼻をかみなさいと言ってもうまくできないお子さんもいます。その場合には、片鼻にゆるくティッシュを挿入し、逆の鼻を押さえて「ティッシュをフンって飛ばしてごらん」とすると、ゲームのような感じになるので、お子さんも面白がってコツを会得する場合もあります。

鼻うがいについて

牧野:なるほど! あと、気になるのが「鼻うがい」です。私もやっているのですが、賛否両論があるみたいで……。これはいかがですか?

前田:個人的には、鼻うがいは割といいものかなと思っています。鼻洗浄や鼻洗いとも言われたりします。何となく痛そうかなと思われる人がいるんですが、この痛みは浸透圧による影響が大きいです。簡単にいうと、水道水で洗うと痛いけれど、生理食塩水で洗えば痛くないんです。市販の鼻洗い用の器具を購入すると、水に溶かすための粉が添付されています。そういうものを溶かすと、おおよそ生理食塩水と同じ浸透圧になり、痛くない鼻洗いができますよ。

アメリカのガイドラインでは、蓄膿症に対してセルフケアでそういったことをすすめているので、患者さんにセルフケアでとりあえずやってみる手はありますよとお伝えしています。さまざまな器具が市販されていますが、鼻から洗浄水(生理食塩水など)を入れて逆の鼻や口から出すことができれば、おおよそ洗えていると思います。ただ、これもあまり強くしすぎないのが重要かもしれません。

牧野:私は食塩を指でつまんでパっと水に入れてやってしまうのですが。

前田:必ずしも間違ってはいないと思います。ただ、ひとつ注意として、免疫が極端に落ちているような状態の人は、水道水に含まれるアメーバによる合併症が海外では報告されていますので、湯冷ましで作成した洗浄水で洗った方がいいです。通常の状態の人でしたら、日本の水道水はおおよそ大丈夫と考えていいと思います。

花粉症の時期に気をつけること

牧野:ほかにも花粉症の時期に気を付けるべきことがあれば教えてください!

前田:眼鏡やマスクでガードすることは基本対策として重要です。花粉症用の眼鏡は非常に効果が高いです。あと、花粉は上着について家の中まで入ってきてしまうので、家に入る前にぱたぱたと上着を払う。これだけでもやっておくと家の中で、花粉で苦しむことは減ります。素材としては、花粉がつきにくいつるつるしているものがいいです。できれば同居の家族にも着てもらうといいでしょう。本当は症状の出る前から治療する方がいいです。今年はすでに飛んでしまっていますが、来年はぜひ花粉が飛ぶ前からの治療を試してみてください。

牧野:セルフケアで治まらない場合は、耳鼻咽喉科に行ったほうがいいですかね。

前田:そうだと思います。治まらない症状は、ぜひ耳鼻咽喉科でご相談ください。

牧野:ありがとうございました。

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免責事項
今回お話をうかがったのは……前田陽平先生
2005年大阪大学医学部医学科卒業。耳鼻咽喉科専門医・指導医・医学博士。アレルギー学会専門医・指導医。大学院・大阪大学医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学助教を経て2022年4月よりJCHO大阪病院耳鼻咽喉科部長。Yahoo! JAPANでも執筆。

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