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「マスク呼吸」で息が苦しい。体にどんな影響が?

マスク生活で気をつけたいこととは?

マスク生活が長引いてきていますが、マスクのせいで呼吸が苦しいという人が多いようです。今回は、「マスク呼吸」について、詳しいお話をビジネスジャーナル等で多数の記事を執筆されている、医療ジャーナリストで薬剤師の吉澤エリーさんに、SBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。
※1月26日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

牧野:私もアナウンサーとして、マスクをつけながら実況中継をしたときに、死ぬんじゃないかというくらい息が苦しくなったことがありました。今、息苦しさを訴える人が多いですよね。

吉澤:そうですね、増えている傾向にあります。心肺機能が若いときに比べて低下している高齢者や、逆に若くても活動量の多い運動をする人などからマスクによる息苦しさの相談を受けることもあります。

牧野:マスクをつけていると、酸素吸入が難しくなるんですか?

吉澤:密閉されたマスクの中で呼吸をしていると、自分の吐き出した息、二酸化炭素がすぐそこにありますよね。そうするとまたその二酸化炭素を吸い込むことになってしまうので、マスクをつけていない状態より、吸い込む酸素量が少ないことになってしまいます。

マスク呼吸の危険な点

牧野:とすると、マスク呼吸で危険な点はどんなものでしょうか?

吉澤:二酸化炭素には血管を拡張させる働きがあり、たくさん吸い込むことで偏頭痛に似た頭痛が起きることがあります。最近、医療従事者の中でも、マスク頭痛と呼ぶ人もいます。また、呼吸が浅くなることで自律神経のバランスを崩して、不定愁訴といって体調不良がでたり、また、酸素が少ないことで、体温がちょっと低くなることもあります。

牧野:体温が低くなると免疫力も落ちるといわれますしね。

吉澤:そういった理由で、マスクをしていながらも、コロナ禍にはよくないような作用になってしまうんですね。

牧野:その辺のあんばいが難しいところですね。マスクをつけているとどうしても苦しくなって、口呼吸になりがちなのかなと思います。口呼吸の危険性はいかがでしょうか?

吉澤:口呼吸は、呼吸が浅くなることがひとつと、口の中がどうしても乾燥しやすくなります。本来、口は閉じた状態でいることで唾液で潤っています。乾燥すると唾液による作用がなくなって、口内の細菌が増えてしまう、感染症にかかりやすくなる、歯周病菌が増えるなど、健康面での影響は考えられますね。

マスクをしたままできる正しい呼吸法

牧野:ただ、世の中の状況的にはマスクをつけないといけないので、マスクをしたままできる正しい呼吸法や対策を教えてください。

吉澤:マスクをしていても口を閉じて鼻呼吸を心がけることがひとつと、もうひとつは酸素をとにかく吸い込む!深呼吸をことを1日に何回かしていただくといいと思います。周囲に人がいないところや自宅、お風呂に入ったときや寝る前に深呼吸をしていただくといいと思います。

牧野:今までよりも意識的に深呼吸の回数を増やしてみるんですね。正しい深呼吸のやり方があれば教えてください!

吉澤:まず姿勢を正してください。呼吸をするときに胸を開くことが大事です。胸を開くというと意識しにくいですが、両方の肩甲骨をぐっと近づけるようなイメージをすると胸が開きます。

牧野:胸を開くときに、むしろ後ろ側を意識するんですね!

吉澤:座った状態でもできるので、肩甲骨をぐっと寄せて、まず息を吐き切ってください。その後、鼻からゆっくりとおなかを膨らますようなイメージで息を吸い、そこから、吸った時間の倍の長さで息をふーっと吐いていきます。これを5回くらい繰り返せるといいですね。深呼吸をすると横隔膜が刺激されます。この横隔膜には、自律神経が密集した箇所があり、ゆっくりと息を吐くことで、副交感神経の働きを高めることができ、リラックスした状態となります。

牧野:ただ単に気分がよくなるだけでなく、いろんな効果がありそうですね。

吉澤:酸素を取り込むことや、自律神経を安定させることだけでなく、日々のストレス解消にもなると思うので、休み時間にやってみるとその後のパフォーマンスが上がるかなと思います。

牧野:Googleの社員やアメリカのペンタゴンでも、呼吸法を学ぶ機会があると聞きますもんね。あとは、マスク生活で気をつけるべき点があれば教えてください!

吉澤:どうしてもみなさん過度に対策している面もあると思うんです。なので、ちょっと冷静になって、散歩やランニングなど周りに人がいない環境のときは、少しマスクをずらして、息を吸い込むなど、ソーシャルディスタンスもしっかり見ながら、できることをやってもらえれば!

牧野:そのへんは状況に応じてということですね。ありがとうございました!

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免責事項
 
今回お話をうかがったのは……吉澤エリーさん
薬剤師、医療ジャーナリスト。1969年12月25日福島県生まれ、1992年東北薬科大学卒業(現、東北医科歯科大学)。医療記事を中心に多数メディアに執筆。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」ニュース(Business Journal)
 

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